大谷翔平選手の“プレー以外の”振る舞い、子どもたちの模範となり得る?
米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平選手が今シーズンも大活躍を見せました。彼のプレーや振る舞いは子どもたちにどう影響するのでしょうか。
米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平選手が、アメリカン・リーグ最優秀選手(MVP)の有力候補になっています。本塁打王にはあと一歩及びませんでしたが、投手としても9勝し、オールスター戦では、特例の「二刀流」出場で勝利投手となりました。その好成績も注目されていますが、大谷選手のプレー以外での振る舞いにも米メディアの関心が高く、高評価を受けています。
大谷選手に憧れる子どもたちも多いと思いますが、子育ての観点から、大谷選手について、子育てアドバイザーの佐藤めぐみさんに聞きました。
思いやりから出る感情表現
Q.投打に大活躍した大谷翔平選手ですが、プレー以外の振る舞いも高い評価を受けています。丁寧な振る舞いが目立つようですが、こうした行為は子どもたちにどんな影響を与えると思われますか。模範となり得るものでしょうか。
佐藤さん「もちろん、模範となります。特に今の時代は、単に野球の試合がテレビで放送されるだけでなく、その中のひとこまをクローズアップして、メディアで紹介することも多いです。よって、野球選手としての素晴らしさだけでなく、その人の人間性までもが伝わりやすい時代といえます。大谷選手はそのモデルのような存在だと思います。私は今、アメリカに在住していますが、実際に住んでみて感じるのは、やはり、細やかなマナーにおいて、日本には素晴らしい文化があるということです。
周囲への配慮の仕方や物を丁寧に扱うこと、このような教育は非常に水準が高いと感じています。日本で生まれ育った大谷選手にとっては、身に付いた習慣を引き続き実行しているだけかもしれませんが、アメリカ人から見たら、本当にリスペクトできる行動ばかりなのです。大リーグは親子で観戦、応援している人も多いですから、子育て中の親にとっても大谷選手は『子どもがぜひ影響を受けてほしい』と願うのではないでしょうか」
Q.大谷選手の素直な感情表現も好印象を与えているようです。
佐藤さん「その様子を目にすれば、子どもたちは当然ながら影響を受けるでしょう。もし、その子が大谷選手のファンであればなおさらです。アメリカ人は感情表現豊かな人が多いですが、大谷選手は、それとはまた違った感情表現の豊かさがあるように感じます。相手への思いやりから出る感情表現というのでしょうか。
和を重んじる日本の文化は子育てにおいてもそれが表れており、相手の立場に立って物事を考えることを大切にします。それが過ぎるとストレスを感じやすくもなりますが、適度であれば、それは思いやりの心となります。大谷選手の感情表現は、このような思いやりあふれるものが多いように感じます。アメリカ人の豊かな感情表現ともタイプが違うので、目に留まりやすく、影響を受ける親御さん、そして、子どもたちは多いのではないでしょうか」
Q.大谷家の子育ても注目されています。「子どもの前で夫婦げんかはしない」といったことをご両親は決めていたようですが、こうした子育ては子どもにどのような影響を与えるのでしょうか。
佐藤さん「家のルールというのは決めること自体は簡単ですが、守るのは大変というのが本音です。そのため、『夫婦げんかをしない』と決めて、それを守り切ってこられたご両親は素晴らしいです。夫婦といえど、やはり、別の人間ですから、一緒に暮らしていれば意見の相違はあるものです。
それをどう解消していくかは家庭ごとに違いますが、同じような問題が発生しても、怒鳴り合いのけんかになる家庭もあれば、話し合って解決できる家庭もあります。夫婦げんかというのは子どもから見ると、『どうやって問題を解決すればいいのか』を教えてくれる場でもあります。両親がいつも、激しく言い合いをしていれば、子どももそうするものだと捉え、お友達とのけんかでも同様にしてしまうことが多くなります。
親のバトルが激しくなればなるほど、おうちの中の居心地は当然悪くなりますし、大谷家のように親がけんかせずに過ごしていれば、子どもにとって、とても居心地のいい場所になります。現に、大谷選手は家での時間の多くを家族とリビングで過ごし、子ども部屋を使うことはあまりなかったと聞きますから、ご両親の決めごとが大谷選手の心の育みに大きな影響を及ぼしているのは間違いありません」
Q.外国でも、子どもの手本になるようなスポーツ選手はいるのでしょうか。
佐藤さん「もちろん、います。特にヨーロッパではサッカーが人気ですから、サッカー選手に影響を受ける子どもたちが多いと思います。サッカーは国を超えてプレーしている選手が多いので、国境を超えた影響力を持っているとも考えられます。例えば、クリスティアーノ・ロナウド選手。
彼はポルトガル人ですが、彼のようになりたいと刺激を受ける子どもたちはヨーロッパだけでなく、世界中にいるでしょう。特に今はツイッターやインスタグラムなどで、スター選手自身が母国語と英語で投稿することも多く、昔のレジェンド的な存在よりも、より親近感のある形で、子どもたちにその素晴らしさが伝わる機会が多い気がします」
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