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消毒液は逆効果? 「擦り傷」ができたときの正しい対処法とは

夏はキャンプやバーベキューなどを楽しむ機会が多い分、けがをする危険性も高まります。例えば、「擦り傷」を負ったときは、どのように対処すべきなのでしょうか。医師に聞きました。

擦り傷に消毒液はNG?
擦り傷に消毒液はNG?

 夏はキャンプやバーベキューなどを楽しむ人も多く、けがをする危険性も高まります。例えば、屋外で転んで、膝などを擦りむいたとき、水で傷を洗い流す人もいれば、消毒液を塗る人もいると思います。近年は「傷口に消毒液を塗るのはよくない」という話も聞きますが、「擦り傷」ができたときはどのように対処すればよいのでしょうか。内科医の市原由美江さんに聞きました。

まず傷口を洗い流す

Q.キャンプやバーベキューなど、屋外で擦り傷を負ったときの対処法について、教えてください。市販の消毒液も使った方がいいのでしょうか。

市原さん「水道水で傷口に付いた泥や汚れを洗い流す必要があります。消毒液を使うと傷が早く治るイメージがあると思いますが、消毒液によって、傷を修復する細胞を傷めたり、傷を治す働きのある常在菌を殺したりといったように逆効果であることが分かってきているので、近年は消毒液を使わない方針が主流となっています」

Q.では、消毒液はどのようなときに使われるのでしょうか。

市原さん「例えば、医療機関では、すでに傷口が化膿(かのう)している場合や傷の種類、原因によって、医療用の消毒液を使うこともあります。しかし、擦り傷のように自分で対処できる範囲の傷であれば、傷口に消毒液を塗る必要はありません。先述のように、まずは水道水で傷口をしっかり洗い流してください」

Q.夏はペットボトル入りのミネラルウオーターを持ち歩く機会が増えると思います。もし、近くに水道がない場合、ミネラルウオーターで傷口を洗い流してもよいのでしょうか。

市原さん「早めにしっかりと傷口を洗えるのであれば、ミネラルウオーターを使っても問題ありません。その際は、飲みかけの製品であっても構いません」

Q.傷口に、ばんそうこうやガーゼを貼ってもよいのでしょうか。それとも、何も貼らない方がよいのでしょうか。

市原さん「出血が少ない小さな傷に、ばんそうこうやガーゼを貼っても害はありません。ただし、近年は『湿潤療法』といって、『傷を治すには、傷が乾燥しないように維持することが大切』といわれるようになりました。そこで、薬局で売られているハイドロコロイド材などの創傷被覆材をかぶせて、乾かないように保つと傷痕が残りにくく、治りも早くなることが期待できます」

Q.もし、出血がなかなか止まらない場合、どのように対処した方がよいのでしょうか。

市原さん「タオルや布などで、出血している部分をしっかりと圧迫して、止血を試みます。それでも出血が止まらない場合は、動脈が傷ついている可能性もあるので、急いで、救急病院を受診してください」

Q.擦り傷ができた後に何もせず、そのまま放置した場合、どうなるのでしょうか。傷口が悪化したり、何らかの病気に発展したりする可能性はあるのでしょうか。

市原さん「何もせずに放置した場合、傷の治りが遅くなったり、傷痕が残ったりしますが、よほど、泥や異物などが傷口に残っていない限り、ほとんどの場合は傷が治ります。

ただし、糖尿病がある人や免疫抑制剤を飲んでいる人、抗がん剤治療中の人など、免疫力が低い人が傷口を洗い流さずにそのまま放置した場合、傷口からばい菌が侵入し、化膿することがあります。特に糖尿病の人は足の傷がきっかけで傷が化膿し、さらに皮膚や骨が壊死(えし)することで敗血症になったり、足を切断しなければならなくなったりすることが珍しくないので注意してください」

(オトナンサー編集部)

市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

横浜鶴ヶ峰病院付属予防医療クリニック副院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。

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