オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

「魚を与えず、釣り方を教える」 子どもに考え、解決する力を身に付けさせるには?

子どもは、いろいろなことを知りたがります。子どもに質問されたとき、即答するのではなく、調べ方を教え、考えるきっかけを与える方が子どものためになることがあります。

「釣り方を教える」子育てとは?
「釣り方を教える」子育てとは?

 子どもから、「ねえ、ママ、ディズニーランドはどこにあるの?」と聞かれたとき、あなたならどう答えますか。大抵の親は「千葉県にあるのよ」「舞浜駅の近くにあるのよ」「夢の国にあるのよ」と即答してしまうでしょう。しかし、「どこにあるのかな? 地図で調べてみよう」と一工夫を加えて答えることで、子どもに「知らないことは調べればいいんだ」という方法を教えることができるのです。

即答するより有効

 ネット社会である現代、地球儀や地図帳がある家庭も昔ほど多くはないかもしれません。その場合はネットでもよいので、検索してみましょう。コツはダイレクトにディズニーランドの住所が出てくるページではなく、「全体地図」を示すページを探すようにすることです。

 すると、子ども自身が「“東京ディズニーランド”だから、東京都にあると思っていたけれど、千葉県にあったんだ」「千葉県の浦安市にあるけれど、千葉県の中でも東京都に近い場所にあるから、名前に“東京”と付けたのかな」と自ら発見できます。こうして、知的好奇心に火がつき、知らないことを知ることに興味を持つ「勉強好きな子」に育つかもしれません。

 場所の調べ物と同様に、子どもが知りたいこと以外の情報もさりげなく見せるとよいでしょう。知りたい・見たい情報へピンポイントにヒットさせるのではなく、見たい情報以外のものも載っているサイトを見つけてみてください。例えば、新しい絵本を買いたいとき。通販サイトで欲しい本をピンポイントで探すのも便利ですが、それだけでなく、図書館や書店にも行ってみましょう。自分が欲しかった本以外も目にすることになり、興味や関心の幅が広がります。

「魚を与えるな 釣り方を教えよ」という言葉があります。おなかをすかせている人に魚を与えると、その場の空腹は満たすことができる。しかし、この人に魚の釣り方を教えなければ、おなかがすくたびに誰かから魚を与えてもらわないと生きていけないことになる。目先のことだけを満足させるのは相手のためにならない、という意味です。子どものためになる子育てとは、まさに“釣り方”を教えることなのかもしれません。

自分で考えるきっかけを

 子どもが忘れ物をしたときの親の対応にも同様のことがいえます。例えば、「筆記用具がないと、子どもが今日一日困るだろう」と心配になって、親が届けてしまうとどうなるでしょう。

 子どもは「忘れ物をしても親が届けてくれる」と思うようになり、明日の朝も「忘れ物をしないように」と準備することがなくなるかもしれません。また、先生に「筆箱を忘れてしまったので、今日は筆記用具を貸してください」と伝えるなど、周囲の人にSOSを出す練習の機会を失うことにもなりかねません。忘れ物をするたびに親が届けてしまうことは、いわば“魚を与える”ことと同じです。

 親が過保護・過干渉になるのではなく、失敗体験を通じて、「忘れ物を繰り返さないためにはどうすればよいのか」のヒントを子どもに与えてみましょう。例えば、「忘れ物チェックリスト」の作成を提案したり、朝の慌ただしい時間ではなく、前日の晩から準備するようにアドバイスしたり…。“魚を与える”のではなく、“釣り方を教える”ことで、子どもの自立につながります。

 ある病院での光景です。混んでいる待合室の本棚には週刊誌や漫画が置いてありました。そこにいた3歳くらいの女の子が「サザエさん」の漫画を手に取り、パラパラとめくっていました。そして、カツオにサザエさんが怒っているページを親に見せて、「ねえねえ、ママ、サザエさんはどうして怒っているの?」と聞いていました。すると、スマホに夢中になっていた親が面倒くさそうに、こんな一言を放ったのです。

「ママはサザエさんじゃないから、何で怒っているのか分からない!」。私はその答えを聞いて、「そりゃそうだ。サザエさんではないのだから、答えられないよね」と妙に納得。「ご名答! お母さん、面白い!」と思いました。

 しかし、当の女の子は落胆したような曇った表情。悲しそうに母親を見上げ、それ以上、質問することはありませんでした。この子にとっては「ご名答」ではないんだと思い直しました。「サザエさんがなぜ怒っているのか、○○ちゃんはどう思う?」と返してあげれば、子どもの考える力が育つきっかけになったかもしれませんね。

 親がすぐ答えを教えたり、困難を解決してやったり、あるいは結論をつけてしまったりするのではなく、答えの導き方を教え、考えさせ、解決するすべを身に付けさせていく。そうすれば、あとは子ども自身がそれを駆使して、力強く生きていきます。日々の子育ての中で、そんな気持ちの余裕を持つのはなかなか難しいかもしれませんが、解答をズバリと教えてしまうのではなく、“釣り方”をさり気なくアドバイスしてみてくださいね。

(子育て本著者・講演家 立石美津子)

立石美津子(たていし・みつこ)

子育て本著者・講演家

20年間学習塾を経営。現在は著者・講演家として活動。著書は「1人でできる子が育つ テキトー母さんのすすめ」「はずれ先生にあたったとき読む本」「子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方」など多数。ノンフィクション「発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年」(小児外科医・松永正訓著)のモデルにもなっている。オフィシャルブログ(http://www.tateishi-mitsuko.com/blog/)。

コメント