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他人が写った写真を無断でアップするなどの「フォトハラスメント」、法的問題は?

他人が写った写真を無断でSNS上にアップする「フォトハラスメント」について「肖像権侵害」「盗撮」などの声が上がっています。フォトハラに法的問題はないのでしょうか。

「フォトハラ」がはらむ法的問題とは…

 他人が写った写真を無断でSNS上にアップする「フォトハラスメント」の危険性が話題になっています。投稿者によると、実際にフォトハラをされ、面識のない人から名指しで声をかけられた知人がいるらしく「女性は特に危ない」と警告しています。これに対し、「勝手に載せられたことある」「学校行事の集合写真も危ない」「許可なくアップする人は信用できない」などの意見や、「盗撮」「そもそも肖像権侵害では」などと法に触れる可能性を指摘する声も上がっています。

 オトナンサー編集部では、フォトハラがはらむ法的問題について、編著書に「子どものネットトラブルに悩む親の法律知識Q&A」(中央経済社)がある、芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

肖像権やプライバシー権侵害の可能性

Q.フォトハラには、「他人の写った写真を無断でアップする」のほか、どのような種類があると考えられますか。

牧野さん「集合写真を全員の承諾なくSNSで公開するなどの一般的なフォトハラスメントに加えて『リベンジポルノ』と呼ばれる種類のフォトハラもあります。典型的なものは、別れた元恋人のプライベート写真や動画をネット上に公開して嫌がらせを行う行為です。元恋人の女性に『交際を続けなければ裸の写真をばらまく』などと写真や動画を添付したメールを送信し、脅した容疑で男性が逮捕される事件がありました。米国でも、リベンジポルノの問題は数多く発生していますが、未成年者が被害に遭っていることが深刻です。これらは『セクスティング』『セクストーション』と呼ばれています。セクスティングは『sex』と『texting(携帯メール)』を合わせた造語で性的なメッセージや写真、動画を電子的に送信すること。また、セクストーションは『sex』と『extortion(強要行為)』を合わせた造語でわいせつな画像や動画の存在を元にゆすることです。ペンシルベニア州では、10代の少女3人が少年3人にわいせつな画像を送信し、この6人の少年・少女全員が児童ポルノ法違反に問われました。オハイオ州では、17才の少女が自分のヌード写真を彼氏に送信し、二人の関係が悪化した後、その写真は高校中にネットでバラまかれました。『被害者』とも言えるこの少女自身も、少年非行の審判を受けています。また、同州では10代の少年少女がクラスメート(15才)のヌード画像を所持・送信したことで、未成年者非行寄与罪(第一次軽犯罪)で有罪となっています。日本でも、児童ポルノ禁止法により犯罪行為になります」

Q.フォトハラスメントの法的問題について教えてください。

牧野さん「まず、個人の肖像権やプライバシー権を侵害する可能性があります。これらは基本的には民事上の権利で、同意なく自分の姿を公衆にさらされない権利です。従って、本人の承諾なく、自分が写った写真を公開した場合は、それだけで肖像権の侵害となり、その人が受けた精神的損害を賠償しなければなりません。さらに、その写真を手がかりに自分が特定され、執ようにコンタクトをされて精神的損害を受けた場合もその損害を賠償する必要があります。写真をSNS上に公開した人は、写っていた人の名誉毀損やプライバシー権を侵害したことで民法上の不法行為が成立し、それによる精神的損害(慰謝料)を賠償しなければなりません。ただし、肖像権やプライバシー権は制定法ではなく、判例上認められている権利なので、基本的に刑事罰はありません」

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牧野和夫(まきの・かずお)

弁護士(日・米ミシガン州)・弁理士

1981年早稲田大学法学部卒、1991年ジョージタウン大学ロースクール法学修士号、1992年米ミシガン州弁護士登録、2006年弁護士・弁理士登録。いすゞ自動車課長・審議役、アップルコンピュータ法務部長、Business Software Alliance(BSA)日本代表事務局長、内閣司法制度改革推進本部法曹養成検討会委員、国士舘大学法学部教授、尚美学園大学大学院客員教授、東京理科大学大学院客員教授を歴任し、現在に至る。専門は国際取引法、知的財産権、ライセンス契約、デジタルコンテンツ、インターネット法、企業法務、製造物責任、IT法務全般、個人情報保護法、法務・知財戦略、一般民事・刑事。