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他人が写った写真を無断でアップするなどの「フォトハラスメント」、法的問題は?

リベンジポルノには刑事罰も

Q.リベンジポルノについても同様でしょうか。

牧野さん「リベンジポルノの場合、次の刑事責任が問われる可能性があります。(1)元交際相手のみだらな写真を公開すると『わいせつ物頒布罪』(2年以下の懲役または250万円以下の罰金・科料)、(2)ネット上に写真を公開すると脅せば『脅迫罪』(2年以下の懲役または30万円以下の罰金)、(3)裸の写真をばらまくと脅かして、交際を続けるように強要した場合は『強要罪』(3年以下の懲役)、(4)裸の写真をばらまくと脅かして金銭を要求すると『恐喝罪』(10年以下の懲役)、(5)未成年の生徒が同級生の陰部を撮影してネットに公開した場合で被害者が18歳未満の場合には『児童ポルノ禁止法違反』(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)、(6)その公開された写真により社会的評価を低下させる場合は『名誉毀損罪』(3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金)にそれぞれ該当する可能性があります。(2)から(6)の犯罪については、刑事罰の可能性と同時に、被害者は加害者に対して不法行為に基づく損害賠償請求が可能です。ただし、フォトハラスメントとリベンジポルノのいずれの場合も、加害者を特定しないと法的な措置を取れないため、まずは、プロバイダー責任制限法に基づいてプロバイダーに発信者情報を開示してもらうことになります」

(オトナンサー編集部)

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牧野和夫(まきの・かずお)

弁護士(日・米ミシガン州)・弁理士

1981年早稲田大学法学部卒、1991年ジョージタウン大学ロースクール法学修士号、1992年米ミシガン州弁護士登録、2006年弁護士・弁理士登録。いすゞ自動車課長・審議役、アップルコンピュータ法務部長、Business Software Alliance(BSA)日本代表事務局長、内閣司法制度改革推進本部法曹養成検討会委員、国士舘大学法学部教授、尚美学園大学大学院客員教授、東京理科大学大学院客員教授を歴任し、現在に至る。専門は国際取引法、知的財産権、ライセンス契約、デジタルコンテンツ、インターネット法、企業法務、製造物責任、IT法務全般、個人情報保護法、法務・知財戦略、一般民事・刑事。

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