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外出自粛で子どもの「ストレス」ピークに、親はどうケアすべき?

コロナ禍でゴールデンウイーク中も外出自粛を余儀なくされ、ストレスや疲労がたまった子どもも多いと思います。親はどのようにして、子どもをケアしたらよいのでしょうか。

子どものストレス、どうケアする?
子どものストレス、どうケアする?

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、1年以上にわたって自粛生活を余儀なくされる中、東京、大阪、京都、兵庫の4都府県を対象に3度目の緊急事態宣言が4月25日に発令され、5月7日には宣言の延長、愛知、福岡両県の追加が決まりました。各地の商業施設やレジャー施設の休業も相次ぎ、ゴールデンウイーク中に外出できなかった人も多いと思います。

 そんな中、心配なのが子どもの体調です。ただでさえ、自粛生活が1年以上も続く中で、緊急事態宣言により、連休中も自宅で過ごす時間が増えたことで、ストレスや疲労がピークに達した子もいるでしょう。そんなとき、親はどう子どもをケアしたらよいのでしょうか。子育てアドバイザーの佐藤めぐみさんに聞きました。

典型的サイン「甘え行動」

Q.子どもがストレスや疲労をためているとき、ありがちな言動について教えてください。

佐藤さん「ストレスや疲労をためているときにありがちなのは『ぐずる』『かんしゃくを起こす』『反抗する』といった行動です。特に、感情が爆発したときは大声で自分の気持ちを表現するようになり、『大声で泣く』『何もかも嫌だと、激しく抵抗する』『親に対して反抗的な言葉や暴言を浴びせる』といった言動が多くなります。

子どもにかんしゃくを起こされたり、反抗されたりすると、親も感情的に反応してしまいがちです。しかし、強く叱るなど、強い力に対して強い力で封じ込めようとすると、さらに子どもが大きく荒れてしまうことが多いものです。かんしゃくを一瞬で鎮める方法はないので、『かんしゃくの頻度を減らす工夫ができないか?』ということに目を向ける方が賢明です」

Q.連休中は緊急事態宣言の影響で外出自粛を余儀なくされたため、ストレスや疲労がたまっている子どもも多いかと思います。このようなときの子どもの行動は、どのようなものが多いのでしょうか。

佐藤さん「『五月病』という言葉があるように、ただでさえ、ゴールデンウイーク明けは大人も子どもも不調を訴えることが多いものです。特に、4月に頑張り過ぎてしまった人はゴールデンウイークを機に、張りつめていた糸が切れてしまうこともあります。

今年はコロナ禍ということで、例年以上に、子どもからのサインに気を付けることがとても大事です。心身が不調のときに子どもが出す典型的なサインといえば、『甘え行動』の増加です。子どもが抱っこをせがんだり、座っている親の膝の上に乗ってきたりと、いつもより甘えてくることがよくあります。

親からすると、わが子がちょっと幼くなってしまった印象を受けるので、戸惑うこともあるでしょう。そんなとき、『なに甘えてるの!』『もう、お兄ちゃんでしょ!』などと言ってはいけません。そういった形で子どもを突き放してしまうと、今度は構ってほしいあまりに駄々をこねたり、反抗したりと、悪循環を引き起こしてしまうこともよくあります。子どもが甘えのサインを出している段階で『あれ? いつもと様子が違うかも』と気付くのが望ましいです。

親に甘えるというのは子どもにとって、心の栄養を蓄える手段でもあるので、コロナ禍のような不測の事態の心のケアにはとても大切です。子どもが甘えてきたら、できる限り応じてあげましょう。スキンシップなどを通し、子どもの甘えたい気持ちを日常的に満たすことで、結果的にかんしゃくの頻度を減らすことにつながります」

Q.連休後に子どもが心身の不調を訴え、「勉強したくない」「学校や幼稚園、保育園に行きたくない」「何も食べたくない」などと言い出した場合、親はどのように対処すればよいのでしょうか。

佐藤さん「子どもに『勉強したくない』『学校(あるいは幼稚園や保育園)に行きたくない』『何も食べたくない』と言われたとき、親は最初に『勉強しなさい』『学校に行きなさい』『ちゃんと食べなさい』などと促すことが多いでしょう。それで解決できれば問題ありませんが、そうでなければ対処法を考えましょう。ただし、このような訴えは根っこにある要因が1つではないので、対処法も原因に沿って考える必要があります。

例えば、『ゴールデンウイークで、すっかり、生活リズムが狂ってしまったから、朝起きられない』のと『起立性調節障害など体の不調により起床が困難』であるのとでは対応が異なります。前者であれば、生活リズムを整えることが第一ですし、後者の場合は医師のアドバイスを求めることが必要です。

親ができることとして、まず大事なのは、子どもが勉強や学校を嫌がる理由やきっかけをできるだけ理解することです。その場合、『どうして?』と問い詰めると、口を閉ざすことも多いので、子どもから原因を探るのは無理のない範囲にとどめ、担任の先生やスクールカウンセラーなど、その子に関わる大人が連携して、改善策を見いだすのが望ましいといえます」

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佐藤めぐみ(さとう・めぐみ)

公認心理師(児童心理専門)

ポジティブ育児研究所代表。育児相談室「ポジカフェ」主宰。英レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。現在は、ポジティブ育児研究所でのママ向けの心理学講座、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポートする活動をしている。著書に「子育て心理学のプロが教える 輝くママの習慣」(あさ出版)など。All About「子育て」ガイド(https://allabout.co.jp/gm/gp/1109/)を務めている。公式サイト(https://megumi-sato.com/)。

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