三菱電機新入社員の死に思う「自殺をめぐる訴訟に勝者はいない」
三菱電機の件も今後、裁判や労災認定の過程で事実が明らかになっていくと思いますが、遺書の中で特定の上司や先輩の名と具体的な行動を挙げていることから、いじめという「事実」があったと推定され、その他の事情を考慮した上で総合的に「労災認定」が判断されることになるでしょう。
前述の通り、精神障がいに関する労災認定はハードルが高いため、結果がどうなるかは分かりませんが、事実としては「未来ある若者が自ら命を断った」のであり、企業として、職場でのいじめを放置し、新入社員をそこまで追い詰めた道義的な責任を免れることはできないはずです。
しかし同時に、多くの事例を見た筆者は企業だけを責める虚しさも感じます。どんなに経営者や人事部などの関連部署が対策を取ったところで、権限を勘違いしたパワハラ上司や根性の悪い先輩を完全に排除することはできないからです。であればこそ「逃げる」という処世術も大切で、今回、それらを身に着ける間もなかった若者が「死」を選んだことは残念でなりません。
企業にとっては、イメージダウンや、関係者の降格や諭旨退職などの処分、何よりも、失われた命が戻ることはなく、遺族としては、高額の賠償金を得たとしても大切なご子息を失った悲しみが消えることはありません。自殺に関する訴訟に勝者はいないのです。
(株式会社あおばコンサルティング代表取締役 加藤圭祐)

コメント