三菱電機新入社員の死に思う「自殺をめぐる訴訟に勝者はいない」
ここで、一つのデータをご覧いただきたいと思います。
平成27年の「精神障がい」に関する労災認定、つまり職務が原因で精神疾患を発症したと認められた件数です。
精神障がい労災請求件数 1515件
労災認定(給付決定) 472件
自殺に関する請求件数 199件
労災認定(給付決定) 93件
全体の3〜4割程度、自殺については約半分が認定されていますが、残りは「認められていない」のが現状で、過去のデータもほぼ同じ水準です。
精神疾患に関わる労災認定のプロセスは「業務(仕事)」「プライベートの環境」「本人の事情」という3つの視点で考慮されます。業務は、長時間労働やパワハラなどの項目ごとに「特別な出来事」「強」「中」「弱」に分類され「中」「弱」は労災になりません(ただし「中」が複数ある場合は合わせて「強」と判断される可能性も)。「特別〜」と「強」は労災の対象になりえますが、その後の検討の結果次第です。
次にプライベートの環境は、配偶者との不和や離婚、家族の死亡、病気、ほかにも借金や子どもの受験などの項目があります。本人の事情は、アルコール依存症の有無や、過去の精神疾患の既往症などです。大枠の流れは以下の通りです。
1.業務上「特別」か「強」にあたる事実がある
2.プライベート、個人的な事情を考慮した上で発症の原因が業務であるか検討
3.業務が原因であれば労災として認定(給付金の支給)
なお「自殺」だけは、自ら命を断ったという事実を重く受け止め、業務でのストレスをかなり重く見ているようです。それが、全体よりも認定率が高い理由だと考えられますが、それでも約半数は「仕事以外が主な原因」と判断され、認められていないのです。これが適切なプロセスなのか、筆者は精神医学の専門家ではないのでここでは論じませんが、「工事現場の事故で障がいを負った」などの「分かりやすい労災」に比べて、目に見えない精神を扱うことの難しさを表しています。

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