世界中が注目! 今年の「ジャクソンホール」では何が飛び出すか
近年のシンポジウムを振り返る
6月下旬~7月上旬に盛り上がった、世界的な金融政策の正常化の観測は、実際に利上げに踏み切ったBOCを除くと、その後はやや下火になっているようです。果たして、今年のジャクソンホールのシンポジウムでは、中銀関係者からどのような見解が示されるのか、興味深く見守りたいと思います。
以下は、近年のシンポジウム(いずれも8月下旬開催)のトピックスです(「」内はテーマ)。
◆2016年「将来に向けて弾力性のある金融政策のフレームワークをデザインする」
イエレン議長が「労働市場の持続的な堅調さと、我々の経済・物価見通しに照らせば、利上げすべき論拠がここ数カ月で強まっている」と表明。その後、同年12月にFRBが利上げを実施した(リーマン・ショック後2度目の利上げ)。
◆2015年「インフレのダイナミクスと金融政策」
イエレン議長は欠席。フィッシャー副議長が講演し「インフレ率が高まると信じる正当な理由がある」と表明。その後、同年12月にリーマン・ショック後初の利上げを実施した。
◆2014年「労働市場のダイナミクスの再評価」
イエレン議長が「経済が失望させられるようなものになるならば、将来的な金利の軌道は現在我々が想定しているよりも、さらに緩和的になる公算が大きい」と表明。市場における利上げ観測が後退した。一方、ECBのドラギ総裁が「ユーロ圏のインフレ期待が大幅に低下した」「政策姿勢を一段と調整する(=金融緩和を強化する)用意がある」などと発言。ECBはシンポジウム直前の6月5日にマイナス金利を導入していたが、2015年1月22日にQE(量的緩和)を決定した。
◆2013年「非伝統的金融政策のグローバルな意義」
金融緩和縮小を示唆した5月の発言が金融市場を混乱させたこともあってか、バーナンキFRB議長は欠席。代わりにイエレン副議長がパネル討論に参加したが、明確なヒントはなかった。
◆2012年「政策環境の変化」
バーナンキ議長が労働情勢に懸念を示しつつ、「必要に応じて追加緩和を行う」と述べ、QE3(量的緩和第3弾)実施を示唆。その後、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で正式に決定した。
(株式会社マネースクウェア・ジャパン チーフエコノミスト 西田明弘)
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