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市場活況「タンパク質」、摂取時の注意点は? 食事では不十分…情報は本当?

人間が生きていく上で必要不可欠な「タンパク質」ですが、摂取する際の注意点はあるのでしょうか。

タンパク質を取る際の注意点は?
タンパク質を取る際の注意点は?

 人間が生きていく上で欠かせない栄養素の一つが「タンパク質」ですが、近年、食品メーカーがタンパク質を多く含む商品の開発を強化したり、大手外食チェーンが高タンパクを売りにしたメニューを考案したりするなど「タンパク質市場」が拡大しつつあります。そんなタンパク質を摂取する際の注意点はあるのでしょうか。内科医の市原由美江さんに聞きました。

通常の食事でも十分摂取可

Q.そもそも、タンパク質はどのような食品に多く含まれているのでしょうか。また、1日にどの程度摂取すべきなのでしょうか。

市原さん「タンパク質は動物性タンパク質と植物性タンパク質に分けられます。動物性タンパク質は肉、魚、卵、乳製品などに含まれています。一方、植物性タンパク質は豆腐や納豆などの大豆製品のほか、ブロッコリーやトウモロコシ、ジャガイモなどの野菜にも含まれています。

厚生労働省の『日本人の食事摂取基準(2020年版)』では(1)18歳以上65歳未満の男性は1日65グラム、65歳以上の男性は60グラム(2)18歳以上の女性は1日50グラムのタンパク質の摂取を推奨しています」

Q「タンパク質は食事だけでは十分な量を摂取するのが難しい」というネット情報があります。本当なのでしょうか。また、もしタンパク質を摂取し過ぎた場合、健康被害はあるのでしょうか。

市原さん「通常の食事で摂取する栄養素として、タンパク質のほかに炭水化物や脂質などがあります。これらをバランスよく摂取していれば、食事だけでも十分量を摂取することはできます。また、タンパク質を摂取し過ぎることで体に悪影響を与えると考えられるのは肝不全や腎不全の人です。体調の状況によって、タンパク質の摂取量が変わるので、これらの持病がある人は主治医にタンパク質の摂取量について指示を受けましょう。

また、肉でタンパク質を多く摂取する人は脂質も同時に摂取することになるため、脂質異常症をきたす可能性があり、全身の動脈硬化を引き起こし、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高めます。脂肪はカロリーが高いため、体重増加にも注意が必要です」

Q.タンパク質は子どもに大人と同じ量を摂取させてもいいのでしょうか。それとも、大人よりも摂取量を控えめにした方がいいのでしょうか。

市原さん「『日本人の食事摂取基準(2020年版)』によると、子どものタンパク質摂取の推奨量は成長に連れて増えていきますが、例えば、6歳から7歳は30グラム、8歳から9歳は40グラムです。

健康な大人がタンパク質を大量に摂取して健康に悪影響が出たというデータはありませんが、子どもについてはよく分かっていません。そのため、子どもに推奨されている以上のタンパク質を摂取させ続けることは避けた方が賢明です。そもそも、子どもはバランスのよい食事が大切なので他の栄養素もしっかりと摂取させましょう」

Q.コンビニに行くと、プロテイン飲料や「プロテインバー」などの高タンパク商品が充実しています。こうした商品はタンパク質を摂取する上で効果的なのでしょうか。

市原さん「筋肉トレーニングをする人はタンパク質を多めに摂取した方がよいので、高タンパクの商品を利用すると効率よく摂取できます。ただし、商品によっては糖質や脂質などが多めに含まれていることもあるため、購入前に成分表をよく確認してください」

Q.タンパク質を効率的に取り入れるためには、いつ摂取したらよいのでしょうか。

市原さん「タンパク質はアミノ酸に分解されて、小腸で吸収されることでエネルギー源となったり、筋肉などの体を作る源となったりします。体のタンパク質が作られるのが効率的なのは運動後なので、運動した後にタンパク質を摂取すると効果的です」

Q.タンパク質はどのような食品で摂取するのが健康的なのでしょうか。

市原さん「動物性タンパク質を含む食品よりも、植物性タンパク質が含まれる食品で摂取した方が脂質が少なくて安心です」

Q.ダイエットをする際にタンパク質を多めに摂取する一方、炭水化物をほとんど摂取しない人もいます。この方法は効果があるのでしょうか。

市原さん「確かに炭水化物を抜くと体重は落ちますが、タンパク質を摂取していても筋肉トレーニングなどの運動を定期的に行わないと筋肉が減ってしまい、やがて、基礎代謝が落ちて痩せにくくなるという悪循環に陥ります。また、炭水化物を抜くと、タンパク質だけではなく脂質や塩分の過剰摂取につながることが多いので、体に悪影響を与えることもよくあります。ダイエットをする場合は、タンパク質だけでなく炭水化物も摂取し、小まめな運動を心掛けましょう」

(オトナンサー編集部)

市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

横浜鶴ヶ峰病院付属予防医療クリニック副院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。

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