違法の「民泊」、営む上で注意すべきことは? ブームの陰でトラブルや摘発も
本来は許可が必要、大規模営業なら摘発も
2015年末、京都市のマンションに無許可で外国人を有料宿泊させたとして、東京都の会社役員らが摘発されたというニュースが報じられました。2014年には、外国人観光客向けに無許可で旅館業を営んだとして、東京都足立区の英国人の男性が逮捕されています。
日本では旅館業法上、宿泊業を営めるのはホテルや旅館などに限られており、「Airbnb」などに登録した人が民泊を事業として営むには許可が必要になります。現在、そうした人の多くが無許可営業と見られますが、民泊が摘発に至ってしまうのはどのようなケースなのでしょうか。国際弁護士の八代英輝さんはこう話します。
「京都のケースは、大規模な商業性や近隣の苦情が重視されたと思います。足立区の男性は、複数の物件をマッチングサイトに登録するなどして旅行者を宿泊させ、保健所が10回にわたって許可を取るよう説得したにもかかわらず拒否したため、逮捕されたようです。(摘発基準としては)営業性が強まることと、近隣トラブルが大きいのでは」
また、実際に摘発には至らないとしても、無許可の民泊にはさまざまなリスクや問題点が潜んでいるようです。八代さんが主に指摘するのは、(1)感染症(2)防災(3)食事の3つです。
旅館業法は、旅行者がホテルや旅館などに宿泊する場合、自分の名前を書く「記帳義務」を定めています。これは、感染症などが発生した場合、その感染経路を辿る必要があるなどの理由から定められていますが、八代さんは「民泊で対応できるのか」と疑問を呈します。
そして、もし民泊の施設で火災などが発生し、宿泊者が死亡してしまった場合、どのような補償がなされるのか。また、民泊の施設で食事を提供する場合、食品衛生法上の問題をどのようにクリアするのか――。
八代さんはこうしたリスクや問題点について、「防犯や公衆衛生、風紀などの観点から、不特定多数の人を宿泊させるためには配慮が必要です。それらをクリアできるかどうかが大きな問題」と指摘しています。
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