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患者数世界一の「歯周病」、18~20歳にした“キス”で重症度が決まる?

セルフケアとメンテナンス継続を

Q.18~20歳の時期に歯周病菌がすみ着くのに、症状が出るのが45歳ごろなのは、なぜですか。

宮本さん「若い人は免疫力が強く、歯周病菌の病原性もまだそれほど高くないので、症状が出てこないのです。

歯周病は『バイオフィルム感染症』です。バイオフィルムとは『菌膜』のことで、菌が形成する膜の下で、さまざまな悪性度を持った菌が共存しています。例えば、台所のぬめりもバイオフィルムの一種です。口の中は温かく、栄養も豊富で、唾の湿気もあり、バイオフィルムができるのにとても適した環境です。この膜は皮膚や粘膜のような新陳代謝もしないので、歯周病菌はいつまでも生き続けます。

バイオフィルムの中にすみ着いた歯周病菌は本当に悪い菌ですが、そのままでは病原性は高くありません。つまり、歯周病菌が暴れて歯周病を進行させることはありません。それが、バイオフィルムの表面に新たに付いた歯周病菌などを栄養素にして、次第に病原性が高まっていき、一方で加齢によって免疫力が弱まることで、45歳ごろに発症するという仕組みです。

『45歳ごろに発症する人が多い』と言いましたが、40歳を超えると、歯周病リスクは40歳未満と比べ2.2倍になるといわれています」

Q.では、歯周病で歯を失わないためにはどうすればいいのでしょうか。

宮本さん「普段のセルフケアと、歯科医院に通っての口腔ケア(メンテナンス)を両方継続してください。

先述したバイオフィルムは通常の歯ブラシでは取れませんので、歯科医院でバイオフィルムを剥ぎ取り、歯から本当に悪い歯周病菌を取り除きます。しかし、歯周病菌は「口腔内常在菌」なのでいつも口の中にいますから、剥ぎ取っても、3日くらいすると新しいバイオフィルムを作ってしまうのです(新しいバイオフィルムの中で歯周病菌は成熟し病原性を高めるので、定期的にバイオフィルムを剥ぎ取る必要があります)。

一方、バイオフィルムの中の歯周病菌をおとなしくさせるために、セルフケアが大切です。歯の表面を歯ブラシで清掃し、歯ブラシが届かないところは歯間ブラシやフロスで汚れを除去してください。それによって、バイオフィルムの表面に付いている歯周病菌を取り除きます。バイオフィルムの表面についている歯周病菌が本当に悪い歯周病菌の病原性を高め、病原性が高まった歯周病菌が歯周病を進行させるからです。

セルフケアについては『虫歯は食後のケア』『歯周病は寝る前のケア』がポイントです。歯周病対策の歯ブラシは、毛先が軟らかめのものを選んでください。歯周病は歯と歯の間の歯茎からやってきます。ですから、歯ブラシの毛先をいかに上手に歯と歯の間に入れるかが重要なポイントです。歯ブラシは歯に対して直角ではなく、少し立てるようにすると、毛先が入りやすくなります。歯ブラシは、少なくとも1カ月をめどに交換してください。歯磨き剤は、歯周病専用のものがおすすめです。

歯と歯の間や歯茎は、歯間ブラシとフロスで細かくきれいにしてください。『リステリン』などの洗口液も使用した方がよいです。舌の表面も細菌がすみ着きやすいので、舌ブラシなどで表面を清掃すると、口臭対策にも有効です。口の中の環境をきれいに整えることは、全身の健康にも大きな影響を与えますし、細菌やウイルスの感染症対策としても有効です。ほぼすべての人がリスクを持っている『歯周病』から歯を守るためにも、口腔ケアを継続してください」

(オトナンサー編集部)

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宮本日出(みやもと・ひずる)

歯科医師、歯学博士

1965年、金沢市生まれ。愛知学院大学歯学部を卒業後、石川県立中央病院、豪アデレード大学、明海大学を経て、2007年、埼玉県志木市で幸町歯科口腔外科医院を開業し、現在に至る。2015年から、埼玉医科大学麻酔科非常勤講師。2017年、立教大学大学院でMBA取得。金沢大学医学部で感染制御学を研究したこともあり、「えっ!? まだ始めていないんですか? お口からの感染予防」(ギャラクシーブックス)など多数の臨床関連著書のほか、「サンタはなぜ配達料をとらないのか?」(VOICE)など仕事論の著作も執筆。

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