ムダ毛処理はいいこと? 傷が不安? 子どもの「除毛・脱毛」にリスクは?
大人だけでなく子どもも、自分の腕や脚の毛を気にしているケースがあります。子どもの除毛・脱毛にリスクはあるのでしょうか。
肌を露出する機会が増える暑い時期、特に女性は腕や脚、脇などの目に付きやすいパーツの「毛」を除毛・脱毛する人も多いことでしょう。しかし、近年、毛を気にするのは大人だけありません。「クラスの子にからかわれた」「水泳やバレエなどの習い事で周りの子と比べてしまう」などの理由から、子どもが自分の腕や脚の毛を気にしているケースは珍しくなく、セルフケア方法を子どもに教えたり、「キッズ脱毛」を行う脱毛サロンやクリニックに連れていったりする親もいるようです。
ネット上では「年齢的に早くない?」「子どものきれいな肌を傷めそうで不安」「子ども本人が気にしているならケアしてあげればいい」「ムダ毛を処理するのは将来的にもメリットだと思う」など賛否が分かれています。子どもの時期に行う除毛・脱毛にリスクはあるのでしょうか。アンデュースキンケアクリニック&スパの浅野さおり副院長に聞きました。
刺激に敏感な子どもの肌
Q.一般的に、子どもの体毛は何歳くらいから生え始めるのですか。
浅野さん「個人差がありますが、子どもの体毛はだいたい10~11歳ごろからみられるようになります。まず、脇の毛が生え始め、両腕、両脚の体毛が濃くなってきます。成長途中の子どもの毛は大人よりも細めで、毛周期(毛の生え変わるサイクル)が大人のようには安定していません」
Q.近年、早い子だと小学校低学年(6~7歳)くらいから、除毛・脱毛を行うケースもあるようですが、医学的観点から、除毛・脱毛をしても問題が少ないのは何歳ごろからでしょうか。
浅野さん「子どもの皮膚は大人より薄く、刺激に対して敏感です。そのため、除毛・脱毛を行うことによって肌トラブルを起こすリスクは大人より高いといえます。第二次性徴が終わり、しっかり大人の皮膚になってから行う方が問題は少ないと考えられます。一般的には15~17歳ごろからでしょう」
Q.低年齢の子どもが除毛・脱毛をすることによって、肌や毛根などに何らかのトラブルが起こる可能性はありますか。
浅野さん「先述したように、低年齢の子どもほど肌が薄く、刺激に対して弱い状態です。あまり早期に除毛・脱毛を行うと、肌や毛根を傷めてしまうリスクが高いでしょう。まぶたの周辺(眉毛の下からまつげの間)など、皮膚がかなり薄い部分は特にデリケートなので注意が必要です。
また、脇や両腕、両脚といった、洋服から見えやすい部分は頻繁に除毛・脱毛をするうちに肌や毛穴の炎症を繰り返し、毛穴が目立ったり、肌が黒ずんだりすることも多いので、子どもの頃からの除毛・脱毛はおすすめできません」
Q.子どもの頃から、継続的に除毛・脱毛を行うことで、大人になってからの肌や毛根、毛の性質などに影響を及ぼす可能性はありますか。
浅野さん「肌トラブルを起こすことがなければ、大人になってからの肌や毛に影響はないものと思われます。しかし、肌トラブルを繰り返すようであれば、『毛穴が目立つ』『肌が黒ずむ』などの状態につながる恐れがあります。強い炎症があまりにも長く続く場合は、肌がガサガサして硬くなってしまう可能性もあります」
Q.除毛・脱毛による肌トラブルの受診目安を教えてください。
浅野さん「大人でも起こり得ることですが、お子さんでも、毛を抜いたり、カミソリでそったりするセルフ処理で肌に繰り返し小さな傷ができ、肌の炎症が起こることが長期間続くと、色素沈着(肌の黒ずみ)を起こすケースもみられます。肌が黒ずんだ状態になってしまうと、改善するのに非常に時間がかかるため、肌トラブルに気付いたら、なるべく早期に皮膚科を受診することをおすすめします」
Q.子どもの除毛・脱毛については親の間でも賛否あるようですが、子どもの除毛・脱毛に関して伝えたいことはありますか。
浅野さん「なるべく肌を傷めないことを第一に考えましょう。体が大人になって、しっかり毛が生えそろってから、除毛・脱毛を開始することをおすすめします。
ただし、お子さん本人が毛をかなり気にしていて、除毛・脱毛を望む場合、あるいはセルフ除毛やセルフ脱毛によって皮膚トラブルが起こっている場合は、医療脱毛を始めるのも一つの選択肢だと思います。毛がまだ生えそろっていない成長途中にレーザー脱毛・光脱毛を始めたい場合は、一度病院を受診して、皮膚科の医師に相談することをおすすめします」
(オトナンサー編集部)
コメント