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コロナワクチンの「治験」開始、希望者は誰でも参加できる?

新型コロナウイルスを対象にしたワクチンの開発が急ピッチで進められ、一部では、効果を確認するための「治験」が始まっています。治験は、希望すれば誰でも参加できるのでしょうか。

治験は誰でも参加できる?
治験は誰でも参加できる?

 新型コロナウイルスが再拡大する中、ワクチンの開発が急ピッチで進められ、一部では、効果を確認するための「治験」が始まっています。「確認段階でもいいから、自分もワクチン接種を受けたい」と思う人もいるかもしれませんが、そもそも「治験」というのは、希望すれば誰でも参加できるのでしょうか。内科医の市原由美江さんに聞きました。

治験には3つの段階

Q.まず、治験の一般的な目的と概要を教えてください。

市原さん「新しい薬を作るために、国の承認を目的として薬の有効性や安全性を調べる臨床試験のことを『治験』といいます。治験の前段階として、さまざまな物質から効果のある『薬候補』を探す基礎研究や動物での試験があり、その後、人間を対象にして有効性や安全性を調べる試験(臨床試験)である治験を行います。

治験には3つの段階があり、健康な人を対象とした第1相試験、少人数の患者さんを対象とした第2相試験、大人数の患者さんを対象とした第3相試験があり、通常、3年から7年かかります」

Q.ワクチンの治験の場合、一般的にはどのような流れになるのでしょうか。

市原さん「ワクチンも薬の治験と同様、第1相から第3相までの3つの段階があります。第1相は、候補ワクチンの安全性や効果などを判断する最初の段階で、第2相の準備段階でもあります。対象者は健康な人、多くて数十人です。第2相は、限られた数のボランティアを対象に有効性を検討する最初の試験のことです。

第3相は、安全性や疾病予防への有効性を判断するため、多くの病院で多数のボランティアを対象とします。今回の新型コロナウイルスに対するワクチン開発はより早く、ワクチンの完成が望まれるので、これらのステップを同時に進行することもあります」

Q.ワクチンの治験の対象者は、どのように集めるのでしょうか。また、希望して自ら応募することもできるのでしょうか。

市原さん「ボランティアで広く募集します。年齢や性別、健康状態、特定の疾患の既往歴の有無など、治験によって異なりますが条件があります。それらの条件に合っていれば、自ら応募することができます」

Q.治験の際、ワクチンの費用や入院費、交通費などの費用はどうなるのでしょうか。

市原さん「ワクチン自体の費用は製薬会社が負担することが多いですが、ワクチンによっては自己負担のこともあります。入院が必要なときの費用は有料ですが、健康保険が使えます。交通費は自己負担です」

Q.治験で副作用が起きたり、体調を崩したり、万が一、死亡したりした場合、治療費や補償はどうなるのでしょうか。

市原さん「もし、副作用と思われる症状などが出現したら、治験を実施している病院で対応します。また、治験を依頼する側は必ず保険に加入することになっており、副作用が原因で生じた医療費や補償金などは保険金で賄われます」

Q.新型コロナウイルス向けのワクチンの治験について、応募はできるのでしょうか。できるとすれば注意点は。

市原さん「年齢や性別、既往歴の有無、健康状態など、ワクチンによって異なりますが応募できるワクチンも出てきており、今後、さらに増える可能性があります。

治験はあくまで臨床試験であり、治験の段階でワクチンの効果が十分に発揮されるとは限りません。新型コロナウイルスへの不安から、治験への参加を望む人がいるかもしれませんが、どの治験も副作用など不利益の可能性があるので、よく検討してから判断してください」

(オトナンサー編集部)

市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

横浜鶴ヶ峰病院付属予防医療クリニック副院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。

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