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ロンドンの「タワマン火災」は日本でも起こりうるのか

「統計上」安全な日本のタワマン

 さて、日本も東京都心だけでなく地方でもタワマンが増加しつつあり、同様の火災が発生する可能性が懸念されます。

 東京消防庁が2015年に発表した「高層化する建築物における防火安全対策」によると、現在、11階建て以上(31メートル以上)の「高層建物」は東京消防庁管轄に約1万2000棟あり、高層建物で発生した火災は2003年から2012年の10年間で319件に上ります。

 なお、火災の「程度」には以下の4段階があります。

・全焼(建物70%以上の被害)
・半焼(20~70%未満の被害)
・一部焼け(20%以下の被害)
・ぼや(1平方メートル未満の焼損被害)

 319件の内訳は「一部焼け」40件、「ぼや」279件。そのほとんどが1平方メートル以下の小規模なもので、全焼どころか半焼すら一件も発生していないことがわかります。死傷者に関しても、死者0人、負傷者64人という状況です。つまり、この統計だけを見ると、タワマンは「極めて安全」と言えるのかもしれません。

 しかし、日本でも今後、ロンドンと同じ規模の火災が発生しないとは言い切れません。実際、同庁によるタワマンへの立ち入り検査の結果、8割程度で違反が確認されたとのデータもあるようです。違反は「避難訓練をしていない」「防火に関する管理者を決めていない」など「人的なもの」が多く、火災への意識の低さが見て取れますが、いざ火災が発生した場合、住民の冷静な行動も極めて重要です。

 ロンドンの悲劇を文字通り「対岸の火事」で済ますのか、それとも、火災対策のための「他山の石」とするのか――。簡単には地上に降りられない「高層」に住むことのリスクを認識し、消火器の場所や避難ルートなどを再確認する必要があるかもしれません。

(株式会社あおばコンサルティング代表取締役 加藤圭祐)

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加藤圭祐(かとう・けいすけ)

株式会社あおばコンサルティング代表取締役

外資系大手のプルデンシャル生命保険で11年間コンサルティング業務に従事。個人顧客700人、法人顧客30社を開拓。2015年4月に株式会社あおばコンサルティングを設立。インターネット上で保険情報サイト「みかづきナビ(http://www.mikazuki-navi.jp)」と、ライフプランニングやお金に関わるコラム「みかづきナビメディア(http://www.mikazuki-navi.jp/blog)」を運営。日々お客様のライフプランニングや執筆・講演活動などを精力的に行う。

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