テレワーク中、ブレーカーが落ちて真っ暗…家電の使い方、どう改善する?
オンライン会議やテレビ会議の最中、家族が電子レンジを使って画面が真っ暗になったとの投稿が話題になっています。対処法を専門家に聞きました。

新型コロナウイルス感染症の影響で、テレワークをする人やオンライン授業を行う学校が増えていますが、SNS上では「100人以上の学生を相手にオンライン授業をしていたら、妻が電子レンジを使って授業が中断してしまった」「テレビ会議をしていたら、突然、画面が消えた」といった投稿が話題になっています。
いずれも、ブレーカーが落ちてしまったようで、家族も在宅中でのテレワークやオンライン授業が増えると、家電製品の使い方に注意する必要がありそうです。改善策や家計との関係を含め、消費生活アドバイザーの池見浩さんに聞きました。
「500Wで○分」の意味は?
Q.電子レンジは、どのくらい電力を使うのでしょうか。コンビニ弁当などを温める目安として書いてある「500Wで○分」「700Wで○秒」といった表示の「500W」「700W」が消費電力なのでしょうか。
池見さん「いいえ、少し違います。『700Wで○秒』の場合、電子レンジ全体の消費電力ではなく、調理するのに必要な高周波を出力するための電力=定格高周波出力を表します。電子レンジ全体では、その他にファンやターンテーブル、デジタル表示などで使う電力も必要で、高周波出力とその他の電力の合計が電子レンジ全体の消費電力になります。
ちなみに、電気の単位と意味について確認しておきましょう。
「A」=アンペア(電流):電気の流れる量。一般的に100V(日本の一般的な家庭で使用)の電圧で1000Wの電力を出すのに必要な電流の量は10A
「V」=ボルト(電圧):電気を押し出す力の大きさ
「W」=ワット(有効電力):実際に消費される電気エネルギーの力の強さ、仕事量
(※「A」×「V」×「力率(電力を有効に活用できる率)」=「W」)
「Wh」=ワットアワー(電力量):1時間あたりで実際に使った電気エネルギーの量
以下、これらの記号を使って説明していきます」
Q.家庭内で、他に大きく電力を消費する主な家電製品を教えてください。
池見さん「一般的な家庭の設定電圧100Vで考えた場合の消費電力の目安は、ドライヤー1200W、エアコンの冷房580W(起動時1400W)、IHジャー炊飯器1300W、IHクッキングヒーター2000~3000W、電子レンジ1500W、食器洗い乾燥機1300Wなどです。電流の量は、ドライヤー12A、エアコンの冷房5.8A(起動時14A)、IHジャー炊飯器13A、IHクッキングヒーター20~30A、電子レンジ15A、食器洗い乾燥機13Aとなります。
また、消費電力の表示は一般的な定義として、次のようになります。
・定格消費電力=電気製品の同時に使える全ての機能を、最大限に使用した場合に消費する電力の大きさ
・消費電力=電気製品を使用する、そのときそのときに消費する電力の大きさ
さらに、家電品の仕様・性能・特徴などの表示については、家電製品の業界団体で定めている公正競争規約の中で、製品ごとに細かく定められています。同規約によると、パソコンは動作時の最大消費電力、電子レンジは定格消費電力を表示するなど製品によって表示の意味が違います。取扱説明書や仕様書で、その家電品のW数や意味合いを確認するとよいでしょう」
Q.一般的な家庭で、ブレーカーが落ちるというのはどういう状況でしょうか。契約アンペア数との関係や、自然災害のときにもあるのかなど教えてください。
池見さん「ブレーカーは、必要以上に電流が家屋内に流れて火災や事故が起きるのを防ぐ『遮断機』です。例えば、契約アンペア数が30Aの場合、同時に使用している家屋内の家電品などの電流の合計アンペア数が30A以上になると、ブレーカーが落ちて安全が保たれます。
一例として、エアコンの冷房(5.8A)とIHジャー炊飯器(13A)を使っている最中に電子レンジ(15A)を使うと、合計33.8Aとなって、ブレーカーが落ちる可能性があります。
なお、使っている合計アンペア数が契約数以下なのに、なぜかブレーカーが落ちる場合は要注意です。配線の切れや露出による漏電が起きている可能性があります。特に自然災害などの後は、屋外の配線切れや雨漏りの水に配線がつかるなどのリスクが増えます。こうなったら、すぐに電気の配電会社や各地の電気保安協会などへ相談してください」
Q.デスクトップパソコンやノートパソコンの消費電力は。
池見さん「大まかな消費電力の数値は、デスクトップ50~150W程度、ノート20~30W程度が一般的です。ただし、パソコンの形態、ハード面のスペックや性能、OS(オペレーションシステム)ソフトの省電力設計など、さまざまな要因で個々に大きく差があります。機種ごとに、メーカーの公式サイトや取扱説明書で確認することをおすすめします」
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