休校・休園多く…子育てと「テレワーク」、どう両立したらいい?
新型コロナウイルス感染拡大の影響で休校・休園する施設がある中、共働き世帯でテレワークを行う人は、家で子どもの面倒を見ながら働かなければなりません。両立できるのでしょうか。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、テレワークを導入する企業が増えていますが、学校の休校や保育園の休園もあり、テレワークをしながら子どもの面倒を見なければならない人もいます。外出自粛を求められている地域も多く、子どもにとってはストレスがたまりがちになりますが、親は仕事があり、子どもにばかり構っていられません。テレワークと子育てを両立するにはどうしたらよいのでしょうか。
子育てアドバイザーの佐藤めぐみさんに聞きました。
まずは仕事用のスペースを作ること
Q.そもそも、テレワークと子育てを両立させることは可能なのでしょうか。
佐藤さん「両立のしやすさはやはり、子どもの年齢が大きく関わってくると考えられます。一番大変なのが、保育園に通う年齢のお子さんがいるご家庭です。特に1歳から3歳くらいの子は『テレワーク』と言っても理解できませんから、『ママ(パパ)がおうちにいる=仕事がお休み』と捉えてしまいがちです。完全な両立は難しいかもしれません。
幸い、小さい子ほど睡眠時間が長いので、お子さんが小さいご家庭は、子どもが寝ている時間を有効活用するのが現実的です。親子の睡眠時間の差は、少なくとも数時間はあるはずですので、その時間に集中したい仕事をするというのが、まずできる工夫だと思います。
一方、小学校の高学年になれば、ある程度自立していますし、親に常に構ってほしいという年齢ではなくなってくるので、お互いの生活リズムさえ崩さなければ、テレワークとの両立は可能だと思います」
Q.テレワークをしながら子育てをする際の注意点は。
佐藤さん「家で仕事をする場合、公私の境界が曖昧になりがちで、片方が大きくおろそかになる事態をつくらないよう注意していくことが大切です。例えば、『仕事にかかりきりになるあまり、子どもが泣いても気付いていない』『子どもに一日中ゲームをやらせっ放し』などです。もちろん、『仕事を進めつつ、洗濯機を回す』など、テレワークならではの利点は賢く活用してみてください。
今回、テレワークを初めて経験した人の中には『会社で仕事をするよりも効率がいい』と感じている人もおり、家での仕事を効率的に進める工夫が大切なポイントのようです。会社と違い、自宅は基本的に仕事用の環境にはなっていないため、これを機に家具などの配置を工夫したり、見直したりすることで、より効率よく集中できるような仕事スペースを作るのもおすすめです。
子どもたちにとっても、親が毎日、定位置で仕事をしていれば、『家でお仕事』という状況を理解しやすくなると思います」
Q.在宅勤務時にストレスを極力ためない方法はありますか。
佐藤さん「在宅で過ごす家族が増えれば増えるほど、家事の負担が母親に偏りがちです。その家事を家族全体でシェアできれば理想的ですが、実際にはそうではないご家庭も多いでしょう。ただ、料理を作ることはできなくても、自分が脱いだ洋服を洗濯物入れに入れたり、使ったコップはキッチンに持って行ったり、自分で使ったものの管理は、よほど小さいお子さんでなければできることも多いものです。
視覚的に煩雑になってくると、どうしてもストレスを抱えやすくなるので、家の中をごちゃごちゃにしないよう、家族全員の思いやりが大事になってきます。『こういうときはこうやろうね』と、家族全員で今後の方針を話し合うのもよいと思います」
Q.乳幼児の子どもがいる場合、テレワークをしていると、子どもが騒いで親の作業を止めることがあります。おとなしくさせるために動画を見せたり、ゲームをさせたりしてもいいのでしょうか。
佐藤さん「予定している電話などは、前もって子どもに『これからママ(パパ)お電話だからね』と予告しておくことが大事です。無事におとなしく過ごせたら、『ありがとう、助かったよ』と褒めていくことで、子どもは『次回もそうしよう』という気持ちになります。
それが難しい場合は『電話が終わったら、おいしいおやつにしようね。だからお電話の間は○○して待ってて』のように、子どもにとってうれしい約束を事前に取り決めておくとよいでしょう。
子どもに動画を見せたり、ゲームをさせたりしている人も多いと思いますが、ルーズにならないことも大切です。特に小さいお子さんには、親がオンライン会議や電話、資料作りなど集中して業務を行いたいときに限定することをおすすめします。動画やゲームは子どもがおとなしくなる分、親もつい頼りたくなりますが、依存性が高く、学校が再開した後に日常復帰の妨げになることが大いに考えられるからです。
今後のことを考えると、動画やゲームに過度に頼らないことも大事です」
規則正しい生活をさせるには?
Q.全国の多くの学校が休校となっています。テレワークをしつつ、子どもに規則正しい生活をさせる方法はあるのでしょうか。
佐藤さん「『休校』という言葉が誤解を与えてしまいがちなのですが、あくまで学校閉鎖であり、休日ではありません。休校中、在宅勤務中は家族全員が生活リズムを崩さないようにしていきたいものです。やることがないとつい、だらけてしまうのは大人も子どもも同じなので、学年相当の学習を取り入れ、めりはりを付けることをおすすめします。
規則正しい生活を続けるために、普段の学校のように時間割を作成して進めている家庭もあります。また、ToDoリストのように、1日ごとに『今日やること』をリスト化している人もいます。子どもは可視化してあげると動きやすくなることが多いので、一緒に書き出してみるといいかもしれません。例えば、毎朝、ママ(パパ)の時間割とお子さんの時間割を1枚にまとめ、冷蔵庫などに貼っておくのもよいと思います。
新型コロナウイルスの流行は長引くことが予想される分、家族全員が健康でいることは非常に大事になってきます。生活リズムが崩れたことで体調を崩してしまっては、目も当てられませんので、普段通りの時間で生活することを心掛けましょう」
Q.テレワークをしながら子育てをするメリットはありますか。
佐藤さん「家で仕事をしながら子育てもするのは大変ですが、子どもに留守番をさせずに済むため、安全面でのメリットはやはり大きいです。また、これまで見られなかった子どもの日中の様子を見て、成長や気付きを感じられることや、一緒にいられる時間が増えることなどをメリットとして感じている人もいます。
『家の中にいつでもパパやママがいる』『毎回一緒にご飯を食べられる』という状態は、子どもに安心感をもたらすので、誰もが不安定になりがちなこの時期には大きなメリットになるといえます。『あれもこれもやらなくちゃ』と追われがちな日々が続いていますが、全部完璧にやらないとダメだと思わずに、既にできていることも案外多いんだと自分をねぎらってほしいと思います」
(オトナンサー編集部)
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