オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

“震源地”武漢、都市封鎖中の市民生活と解除後の状況は? いまだに恐怖も?

今もコロナ恐れ、外出は控え気味

Q.都市封鎖解除までの流れを教えてください。

青樹さん「新規感染者数が鍵でした。1月29日の新たな感染者は356人でしたが、2月5日に1766人、2月12日には1万3436人と増えていきました。それが、2月19日に615人となり、新規感染者数は減っていきます。そして、3月18日に新規感染者がゼロになりました。

それから、4日連続で新規感染者がゼロとなり、政府がこの時点で『勝利宣言』を行い、3月25日に湖北省の武漢以外の地域を、2週間後の4月8日に武漢市の都市封鎖を解除することになりました」

Q.封鎖が解除されたことによって、どんな点が変わりましたか。生活は元通りになったのでしょうか。

青樹さん「中国メディアの報道ですが、封鎖が解除された4月8日、この1日だけで、5万5000人が鉄道で武漢を出て、1万1000人が空港から出て行ったそうです。春節中に帰省できなかった人が多かったんですね。

武漢市内については、外出はできるようになっていますが、皆『トラウマ(心的外傷)』状態になっていて、ショッピングモールも客足は戻っていません。不要不急の外出を控えているのです。

日本では、『中国は強権国家だから都市封鎖ができた』と思っている人が多いようで、それも事実ですが、中国人が本当に新型コロナを怖がっていたという側面もあります。市民生活が元通りになるには、かなり時間がかかるかもしれません」

Q.武漢市は交通の要衝であり、工業都市として有名だと以前お聞きしました。新型コロナウイルス感染症による経済面への打撃はどの程度だったのでしょうか。

青樹さん「武漢はハイテク都市で、武漢を含む湖北省は中国のGDP(国内総生産)の4%以上を占めている地域です。そんな武漢を直撃したので、中国経済全体に及ぼす影響もかなり大きいです。政府系シンクタンク、中国社会科学院の張明研究員は、2020年1~3月期の実質経済成長率はマイナス7%から同8%になると言及しています。

武漢では工場を再開しているところもありますが、すべての従業員が職場復帰できているわけではなく、サプライチェーンが混乱しています。すべてが元通りになるには時間がかかりそうです」

Q.新型コロナウイルス再流行の恐れはないのでしょうか。

青樹さん「最大の問題は、最近まで、感染しているのに症状のない無症状者をカウントしていなかったことです。こうした人たちがこれからどうなるのか、注意が必要です。正確な情報を公開していかなければ、疫病との闘いは終わらないかもしれません」

(オトナンサー編集部)

1 2

青樹明子(あおき・あきこ)

ノンフィクション作家・中国社会情勢専門家

早稲田大学第一文学部卒、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科修士課程修了。大学卒業後、テレビ構成作家や舞台脚本家などを経て企画編集事務所を設立し、業務の傍らノンフィクションライターとして世界数十カ国を取材する。テーマは「海外・日本企業ビジネス最前線」など。1995年から2年間、北京師範大学、北京語言文化大学に留学し、1998年から中国国際放送局で北京向け日本語放送のキャスターを務める。2016年6月から公益財団法人日中友好会館理事。著書に「中国人の頭の中」「『小皇帝』世代の中国」「日中ビジネス摩擦」など。近著に「中国人の『財布の中身』」(詩想社新書)がある。

コメント