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自社商品を強制購入させる「自爆営業」、なぜなくならない? 法的問題は?

自腹でごまかすとどうなる?

Q.自爆営業を強制されるのではなく、社員が自分のために営業成績を上げようとして、自腹を切って物品やサービスを購入した場合、法的問題や懲罰対象になることがあるのでしょうか。

木村さん「会社から強制されていないのに自腹を切ってノルマを達成し、何らかの歩合報酬などを受け取った場合、会社に損害を与えたとして詐欺罪に該当する可能性があります。

例えば、営業成績で月1000万円の売り上げを達成すれば、50万円の歩合給が上乗せで支給される条件で、自身の当月の売り上げが980万円だとします。あと20万円を自己負担で賄えば売り上げが1000万円となるため歩合給がもらえます。

このケースでは会社側から見ると、歩合給(50万円)から社員の自己負担分(20万円)を引いた30万円の損害があったと考えることができます。そのため、民事上、会社側から歩合給分を返還するよう請求されることもあり得ます。

また、就業規則などで、他者の名義を借りて契約し代金は自己負担する名義貸し契約を禁止していた場合、規則違反として懲戒処分の対象になり得ます」

Q.自爆営業の話に戻りますが、そうした行為を会社や上司から強制された場合、どのように対応すればいいでしょうか。また、自爆営業で自己負担した費用を取り戻すことはできるのでしょうか。

木村さん「自爆営業は法律違反となる可能性が高く、会社や上司から強制された場合は断って構いません。それでも、自爆営業を繰り返し強要される、所属部署の中で慣習化されているため単独では断りにくいなどの場合は、次の手段で対応してください。

(1)自爆営業が部署単位で行われているときは、上層部(課単位での強制なら部長など)に相談してください。その際、証拠として、商品を買ったレシートや明細書、ノルマが記載された書類、実際に自爆営業を命じられた際の録音データ、メール、書面などを収集した上で提示するとよいでしょう。

(2)(1)の方法で解決できない場合は、労働基準監督署、もしくは弁護士などの専門家に相談してください。自爆営業により、社員が自己負担した費用返還の訴えを起こすことは可能ですが、『自爆営業を会社が強要したこと』を、訴えた側が立証しなければなりません。訴えが認められれば自己負担した費用は会社から返してもらえる可能性があります。そのためにも物的証拠を集め、残しておくことが重要となるでしょう」

(オトナンサー編集部)

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木村政美(きむら・まさみ)

行政書士、社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー

1963年生まれ。専門学校卒業後、旅行会社、セミナー運営会社、生命保険会社営業職などを経て、2004年に「きむらオフィス」開業。近年は特にコンサルティング、講師、執筆活動に力を入れており、講師実績は延べ700件以上(2019年現在)。演題は労務管理全般、「士業のための講師術」など。きむらオフィス(http://kimura-office.p-kit.com/)。

コメント

1件のコメント

  1. 旧現業の民営・分社化されたあるグループ会社は、ノルマ営業やそれに伴うパワーハラスメントなどで社内処分が先日「とりあえず形だけ」行われたと報道がありましたが、曲がりなりにも株式会社なので、一部の株主からの訴訟問題に発展してもおかしくない事例ではないのかと、一般常識としては思うのですが・・・。