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感動で涙、血が苦手…夫の「立ち会い出産」はすべき? メリットは? 医師の見解

子どもにとっては一度きりの機会

Q.産婦人科医として、夫は妻の出産に立ち会った方がいいと思われますか。それとも、立ち会わなくていいと思われますか。

尾西さん「夫婦ごとに感覚が異なるので一概には言えませんが、出産に立ち会うのはよいことだと思います。一生に数回しかないこと、また、それぞれの子どもについては一度きりのことなので、夫婦・家族の大事な思い出としてしっかり記憶していただくことで家族の絆が強まると思います。

『恥ずかしい』という女性もいらっしゃいますが、男性には頭の方にいて、実際に赤ちゃんが出てくるところは見えないようにしている病院が多いので、心配はいりません。心配であれば、事前に医療者にお伝えいただければ配慮もできます。

一方、どうしても血が苦手だけど立ち会いたいという男性の場合も、なるべく血を見せないような配慮をすることもあります。こちらも事前に伝えていただければ、可能な限りのことはします。

ただ、どちらかが無理をすると出産がネガティブなものになってしまいます。夫婦でよく話し合ってお互いに納得し、ポジティブに出産を迎えられることが一番だと思うので、決してお互いに無理強いはしないでくださいね」

Q.妻は立ち会いを希望しているものの、夫が希望しない(立ち会いたくない)ケースも少なくないようです。

尾西さん「夫婦間の問題なので、こうした場合に医療者側から何かアクションをすることはできません。立ち会いの間ずっとスマホをいじっている男性を見たこともあるので、無理に立ち会うのはマイナスだと思います。まずは、事前に2人でしっかり話し合うことが一番です。

また、立ち会いたくない理由によっては、医療者側の配慮で解決できることもあるので、『なぜ立ち会いたくないのか』をしっかりお話していただけたらと思います。最初は希望していなくても、実際に立ち会ったら『立ち会い出産にしてよかった』という声もたくさん聞きます」

Q.夫婦で立ち会い出産を希望すると決めた場合、出産を迎えるまでにどのような準備や心構えをするとよいでしょうか。

尾西さん「女性は『腰をさすっていてほしい』『生まれた瞬間の写真を撮ってほしい』『お尻の方には行かないでほしい』など、夫にしてほしいこと/してほしくないことをきちんと伝えておきましょう。

男性は、何があっても驚かないように心構えをしておいていただけたらと思います。時には、予想以上の出血をすることもあれば、普段おとなしい女性が聞いたこともないような声でいきむこともあります。全てを受け入れる気持ちで臨んでみてください。味わったことのない感動に立ち会えると思いますよ」

(オトナンサー編集部)

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尾西芳子(おにし・よしこ)

産婦人科医(神谷町WGレディースクリニック院長)

2005年神戸大学国際文化学部卒業、山口大学医学部学士編入学。2009年山口大学医学部卒業。東京慈恵会医科大学附属病院研修医、日本赤十字社医療センター産婦人科、済生会中津病院産婦人科などを経て、現在は「どんな小さな不調でも相談に来てほしい」と、女性の全ての悩みに応えられるかかりつけ医として、都内の産婦人科クリニックに勤務。産科・婦人科医の立場から、働く女性や管理職の男性に向けた企業研修を行っているほか、モデル経験があり、美と健康に関する知識も豊富。日本産科婦人科学会会員、日本女性医学学会会員、日本産婦人科乳腺学会会員。オフィシャルブログ(http://ameblo.jp/yoshiko-onishi/)。

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