オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

米FRBはなぜ利上げを急ぐのか

FOMCが掲げる物価目標は2%だが…

 FOMCは2%の物価目標を掲げており、いくつかある物価指標の中で、個人消費支出(PCE)価格指数、とりわけエネルギーと食料を除いたコアを重要視しています。

 3月1日に発表された1月のPCE価格指数は総合が前年比プラス1.9%と、前月の同1.6%から加速しました。一方で、コアは前月とほぼ変わらない1.7%でした。ただ、コアも2015年秋ごろをボトムにジリジリと加速しています。

 そして、エネルギー価格が昨年2月ごろに底打ちしたことを考慮すると、PCE総合は今後数カ月、前年比での伸びが一段と加速しそうです。筆者の簡単な手計算によると、2月のPCE総合が前年比プラス2.6%へと加速しても不思議ではありません。FOMCが重視するのがコアといえども、総合指数のプラス2%超えは、「物価が依然としてFOMCの目標を下回って」という、利上げを遅らせる唯一の根拠を崩すことになりかねません。

 さて、2月のPCEが発表されるのは3月31日。次回FOMC(3月14~15日開催)の約2週間後です。仮に次回FOMCで現状維持を決定し、その後に発表されるPCEが上振れするようなら、FRBは「後手に回っている(ビハインド・ザ・カーブ)」と批判されるかもしれません。そして、それは長期金利の上昇という、米経済にとってありがたくない状況を生み出す可能性があります。

 もちろん、次回FOMCでの利上げが確実というわけではありません。それまでの状況次第です。最新のベージュブック(地区連銀経済報告)では、人手不足の拡大や賃金上昇率の加速が一部で報告されました。今月10日に発表される2月の雇用統計でも同様の兆候がみられれば、3月利上げがより現実味を帯びるかもしれません。

(株式会社マネースクウェア・ジャパンチーフエコノミスト 西田明弘)

1 2 3

西田明弘(にしだ・あきひろ)

株式会社マネースクウェア・ジャパン(M2J)市場調査部チーフエコノミスト

1984年日興リサーチセンター入社。米ブルッキングス研究所客員研究員などを経て、三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社。チーフエコノミスト、シニア債券ストラテジストとして高い評価を得る。2012年9月マネースクウェア・ジャパン(M2J)入社。現在、M2Jのウェブサイトで「市場調査部レポート」「市場調査部エクスプレス」「今月の特集」など多数のレポートを配信するほか、テレビ・雑誌などさまざまなメディアに出演し活躍中。株式会社マネースクウェア・ジャパン(M2J)(http://www.m2j.co.jp)。

西田明弘(にしだ・あきひろ) 関連記事

もっと見る

編集部おすすめ記事

ライフ 最新記事

ライフの記事もっと見る

コメント

CAPTCHA