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赦免許せないの声も…天皇陛下即位に伴う「恩赦」ってどんなもの? なぜ実施する?

政治利用の可能性に懸念も

Q.恩赦は、「三権分立の点から問題」という指摘や政治利用の恐れについての指摘もあります。この2点について詳しく教えてください。

井上さん「近代の憲法の考え方によると、国家から国民の権利や自由を守るために、国家権力を立法、行政、司法の3つの作用に分け、それを、国会、内閣、裁判所に担わせ、それぞれお互いににらみを利かせ、バランスを取ろうとしています。これが三権分立です。

このような三者の関係からすると、行政権を担う内閣が行う恩赦は、国民の代表者で構成される国会の定めた法律に従って裁判所が判断して決めた刑罰を、裁判の手続きなく消滅させたり変更したりするものであるため、立法権と司法権の活動を侵害し、三者のバランスを崩す可能性が高いとも考えられます。そのため、三権分立の点から、恩赦を行うかどうかは慎重に判断すべきであり、また、他の制度では不十分な場合に限って行われるべきと考えられています。

他方で、恩赦は内閣限りの判断で行われるため、現行法上、その判断の必要性や妥当性についてチェックする方法がありません。そのため、内閣が次の選挙で有利になるよう恩赦を実行するなど、政治的な思惑により恩赦制度を恣意(しい)的に行ったとしても、それをチェックできず、政治利用の恐れが出てきます」

Q.過去の恩赦の例、特に問題となった恩赦があれば教えてください。

井上さん「近年のものとしては、昭和から平成への代替わりに伴う『昭和天皇御大喪恩赦』『今上天皇御即位恩赦』のほか、『皇太子殿下御結婚恩赦』などがあります。

昭和天皇御大喪恩赦の際には、公職選挙法違反の罪が除外されていなかったことから、約1万5000人の公職選挙法違反者が復権したため、公選法違反者の救済の側面が強いものであったという問題点が指摘されました。今上天皇御即位恩赦では、その年の衆議院議員選挙の公選法違反で罰金刑を受けた者が含まれており、『政治恩赦』であるとする批判が展開されました」(※)

Q.恩赦制度は、現代の日本に必要なものでしょうか。

井上さん「恩赦の制度には、三権分立や政治利用などを巡る問題があり、このような問題を重視すると恩赦の制度は不要とも思えます。しかしながら、恩赦、特に個別恩赦については、罪を犯した者の、その後の更正などの事情を慎重に考慮し、再犯の可能性がないと考えられる場合、恩赦によって前科の抹消や資格の回復を図ることでスムーズな社会復帰を図るという、更生保護の観点から必要性があると考えます。恩赦制度は、慎重に行うことを前提に、現代の日本に必要な制度だと考えます」

 法務省によると、今回の恩赦のうち、政令恩赦は「復権」のみで、罰金刑を受けて罰金の納付から3年以上経過している人など約55万人が対象です。個別恩赦は「刑の執行免除」と復権を実施予定で、復権は約1000人が対象、刑の執行免除は、執行が病気などで長期間停止され、今後も困難な人が対象で、ごく少数にとどまる見込みとのことです。

(オトナンサー編集部)

※参考文献:国立国会図書館「調査と情報-ISSUE BRIEF-」第1027号(2018年12月6日)「恩赦制度の概要」

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井上圭章(いのうえ・よしあき)

弁護士

弁護士法人グラディアトル法律事務所所属。九州国際大学法学部卒業後、京都産業大学法科大学院修了。「労働問題」「男女トラブル」「債権回収」「不動産トラブル」などを得意分野とする。

コメント

1件のコメント

  1. 必要ないという声が殆どなのに廃止されないとは、日本は本当に民主国家なのかね。