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夫や妻が“未成年者”と不倫…未成年でも慰謝料は請求できる?

東出昌大さんの不倫騒動で、東出さんは、唐田えりかさんが未成年の頃から不倫関係にあったとされます。未成年者との不倫の法的問題について、弁護士に聞きました。

東出昌大さん(左)と唐田えりかさん(2018年5月、AFP=時事)
東出昌大さん(左)と唐田えりかさん(2018年5月、AFP=時事)

 今なお批判がやまない、俳優・東出昌大さんの不倫騒動。東出さんは、妻で女優の杏さんが第3子を妊娠していた頃から、女優の唐田えりかさんと不倫をしていたと報じられています。さらに、不倫関係が始まった時期に唐田さんは未成年だったとされます。

 ネット上では、「最悪」「ひど過ぎる」といった非難の声が絶えませんが、一方で「もし未成年のときに不倫が発覚していたらどうなっていたのかな」「未成年者と不倫したら慰謝料は誰が払うの?」など疑問の声も上がっています。

 未成年者との不倫の法的問題について、グラディアトル法律事務所の井上圭章弁護士に聞きました。

民法712条の「未成年者」は12歳前後

Q.そもそも、不倫は法的にどのような条件で成立するのでしょうか。

井上さん「不倫の成立には、『自由な意思』で『性的関係を結ぶ』ことが必要となります。

不倫は一般に、配偶者以外の人と肉体関係(性的関係)を持つことを意味し、法律上は『不貞な行為』(民法770条1項1号)として離婚事由とされています。不貞な行為とは、判例では『妻または夫がいる人が、自由な意思に基づいて、妻または夫以外の人と性的な関係を結ぶことをいう』とされています。そのため、自由な意思に基づかない場合、すなわち、夫以外の男性から強制性交の被害に遭った場合などは不貞な行為には当たりません。

恋人同士しかしないようなキスやハグをするなど、異性との過度な交際をしていたとしても、それが性的関係でない場合、不貞な行為には当たらないことになります。なお、不貞な行為は継続している場合はもちろん、一時的なものでも認められる余地があるとされています」

Q.既婚者と未成年者の不倫が発覚した場合、配偶者は未成年者に対して慰謝料を請求することは可能ですか。

井上さん「可能です。判例では、配偶者と不貞行為をした相手に対する慰謝料請求に関して『故意または過失がある場合、その配偶者の夫または妻としての権利を侵害する違法な行為』とし、その配偶者の被った精神的損害について慰謝する義務(=損害賠償義務)があるとの判断をしています。不貞行為をされた配偶者は、たとえ相手が未成年であっても慰謝料を請求できます。

民法712条は、善悪の判断が十分できない未成年者に対しては損害賠償請求ができない旨を規定していますが、712条の『未成年者』は12歳前後を指すと考えられており、不貞関係が問題となるケースでは、この条文が問題となることはまずないでしょう」

Q.未成年者に対して慰謝料を請求する際、必要な条件や証拠とは。

井上さん「請求が認められるには、どれだけの証拠を準備できるかが大切です。先述の通り、不貞行為といえるためには性的関係があったことを証明する必要がありますが、その場面を証拠にすることはまず不可能でしょう。

そこで、携帯電話の受信・着信履歴やメール、SNSなど不貞相手とのやりとりが分かる資料の保存、クレジットカードの利用明細書の収集、写真・録音などの証拠集めをすることになります。ホテルに出入りする写真などの証拠集めには、探偵事務所といった専門家への依頼も検討する必要があります。

なお、どのような証拠が不貞の立証に役立つかは、法的な知識も必要となるので離婚問題を多く扱っている法律事務所への相談もおすすめします」

Q.この場合の慰謝料は、いくらくらいでしょうか。

井上さん「慰謝料の額は『婚姻期間』『婚姻関係が破綻したか否か』『不貞の期間や態様』『配偶者と不貞相手のどちらが主導的役割を果たしていたのか』など、さまざまな事情を考慮の上で決定します。

裁判例では、200万円前後の慰謝料が認められたケースや、不貞相手の責任は副次的なものであるとして不貞をした配偶者より低い金額(数十万円程度)しか認められなかったケースもあります。未成年者が不貞の相手だった場合、『未成年であること』も考慮され、慰謝料の額が低くなることも考えられます」

Q.未成年者側が「通常の交際をしているつもりだった(=不倫をしているという認識はなかった)」ケースや、既婚者側が「既婚であることを隠していた」ケースではどうでしょうか。

井上さん「慰謝料の請求には『相手に故意または過失があること』が必要です。こうしたケースの場合、付き合っている中で普通の人なら『相手が既婚者である』『配偶者がいる』ことに気付くような場合を除き、未成年者側に故意または過失が認められる可能性は低く、慰謝料を請求できない可能性が高くなります。

未成年者が社会経験や恋愛経験が浅い傾向にあるという事情も考慮されるでしょう」

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井上圭章(いのうえ・よしあき)

弁護士

弁護士法人グラディアトル法律事務所所属。九州国際大学法学部卒業後、京都産業大学法科大学院修了。「労働問題」「男女トラブル」「債権回収」「不動産トラブル」などを得意分野とする。

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