オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

「夫が育休取得でボーナス最低」投稿話題、違法では? 一方で欠席議員に満額、アリなの?

「育児休業を取った夫のボーナス査定が最低になった」との投稿が話題に。一方、本会議や委員会を長期間欠席した国会議員には「期末手当」が満額支給され、批判が出ています。

丸山穂高衆院議員(2019年5月、時事)。期末手当を満額受け取り、明細をツイッターで公開した
丸山穂高衆院議員(2019年5月、時事)。期末手当を満額受け取り、明細をツイッターで公開した

 12月は公務員や会社員など多くの人にボーナスが支給される月ですが、ネット上で、「育児休業を取った夫のボーナス査定が最低になった」という投稿が話題になっています。一方で、丸山穂高衆院議員ら、本会議や委員会を長期間欠席した国会議員には、ボーナスに相当する「期末手当」が満額支払われ、批判の声が上がっています。ボーナスに関する疑問について、グラディアトル法律事務所の井上圭章弁護士に聞きました。

法律ではなく労働契約などに規定

Q.まず、ボーナスや期末手当の一般的な位置付けを教えてください。

井上さん「年末のこの時期、『ボーナス』『賞与』の支給を受ける人も多いかと思います。他方、自分の会社では、ボーナスや賞与とは無縁だ…という人もいます。ボーナスや賞与は、会社と締結する労働契約や、会社の定める就業規則の中で支払いを定めた場合に限り支給されるものです。これは、民法や労働基準法で支払い義務が定められている『賃金』と性質が異なります。

他方、国会議員や国家公務員などの職にある人の歳費・給与などについては『国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律』『一般職の職員の給与に関する法律』といった法律などによって定められ、これらに従い、歳費・給与などが支払われることとなります。これらの法律に、『期末手当』(私企業のボーナスのようなもの)の支給について定められており、一定の計算方法に従って計算された額が支給されることになっています」

Q.一般的な会社員が病気やけがで長期間欠勤した場合、ボーナスはどのようになることが多いのでしょうか。

井上さん「先述したように、ボーナス・賞与については、労働契約や就業規則に定めがある場合に支払われるものです。そのため、長期間欠勤した場合の取り扱いについてもこれらの定めによることとなります。

ボーナス・賞与の査定期間に長期間欠勤した場合、その査定期間に出勤日数がほとんどないとなれば、ボーナス・賞与が支給されないということもあります。また、仮に支給されるとしても、金額的には少額で寸志程度となります」

Q.育児休業をしていることを理由に、不利益な扱いをしてはいけないと聞きます。その法的根拠を教えてください。

井上さん「『雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律』(男女雇用機会均等法)や『育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律』(育児・介護休業法)で、妊娠・出産、育児休業などを理由とする解雇などの不利益な取り扱いを禁止しています」

Q.育児休業を取得したことでボーナスの査定を最低ランクにしたり、ボーナスを支給しなかったりすることは合法でしょうか、違法でしょうか。

井上さん「妊娠・出産、育児休業などを理由に不利益な取り扱いをした場合、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法に違反すると考えられます。例えば、育児・介護休業法10条では『事業主は、労働者が育児休業申出をし、または育児休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない』と規定しています。

育児休業を取得したことの一事をもって、ボーナスの査定を最低ランクにしたり、ボーナスを支給しなかったりすることは、育児休業の取得を理由とした『不利益な取扱い』にあたるものとして違法となるでしょう。

ただし、就業規則などの定め方にもよりますが、判例上、育児休業期間について、『欠勤として減額の対象とすることはできる』と判断されています。そのため、査定を最低ランクにするなどの措置が、労働者が育児休業を取得しにくくなるなど、労働基準法などが育児休業を保障している趣旨を実質的に失わせるといえるような場合を除き、違法ではないとされています。

つまり、先ほど述べた、病気やけがで長期間欠勤したケースと同様の扱いであれば、違法とはいえないでしょう。また例えば、ボーナス・賞与に代わって育児休業中、法律に定める以上の条件での賃金や手当などの支払いがあるなど、労働者に有利な事情があり、どのことについて労働者も同意しているなどの場合も、例外的に、ボーナス不支給のような取り扱いが違法とならない場合があります」

1 2

井上圭章(いのうえ・よしあき)

弁護士

弁護士法人グラディアトル法律事務所所属。九州国際大学法学部卒業後、京都産業大学法科大学院修了。「労働問題」「男女トラブル」「債権回収」「不動産トラブル」などを得意分野とする。労働問題に関する相談(https://labor.gladiator.jp/)。

コメント

1件のコメント

  1. この丸山穂高氏。一見破茶滅茶な言動を撒き散らしているかのようだが、実は、我々国民側の常日頃からも思いを、中から、自身の処遇と実証を晒して世間に我が国の政治家の不正、出鱈目を公表しているのだと思っています。マスコミや日本国籍を有する国民は、丸山穂高氏が身を呈して実証している様々な金の動きに疑問と是正、政治家の全ての処遇に対して抜本的な見直しを加えるべき時に来ていると考える。