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居酒屋の「お通しカット」はマナー違反にあたらないのか

大手チェーンはカットを事前想定

 それでは、「お通しカット」と言ってしまうのはマナー違反なのでしょうか。まず大手居酒屋チェーンの場合、「お通しはいりません」という要望に対応している店も少なからず存在し、こうした店では、お通しカットは事前に想定されている行為であるためマナー違反と考える必要はなさそうです。

 小料理屋や一般の居酒屋の場合はどうでしょうか。齊木さんは「本来の趣旨に即して、よく考えられたお通しであれば、ぜひ楽しんでほしいですね」と話します。「お通しは店の看板」という板前さんも数多くいて、こうした店では季節の食材や看板料理などを踏まえてお通しを作り、注文への起爆剤としているため、「下手なものは出てきません」。

「自分から頼んだお料理でないことは事実ですが、お通しによって、そのお店のお客様に対する姿勢やお料理への考え方が伝わります。楽しみながら、十分に味わうのがベストでしょう」

お通し自体が“名物”になる事例も

 ちなみに、お通しを、「会って最初に交わす握手」「名刺交換」などと考える板前さんもいるほどで、お店の特徴を表し、好印象を与えうる料理であることが良いお通しの条件だそう。たとえば、看板食材のカキを使った料理をお通しに出して、好評を得ているカキ料理店や、日本酒に合う「一汁八菜」をお通しとして出すうちに、お通しが名物になった居酒屋もあります。

 客にとっての「納得性」を高める工夫も大切で、複数の小鉢料理の中から好みのものを選べる形式も人気があるといいます。

「元々はおもてなしの心にも由来する、日本固有の慣習である『お通し』。しかし、お店の考え方によっては、その質や価格に大きな違いが出てきています。お店として、お通しをどのように位置付けるのか、改めて考える時期なのかもしれません」

(オトナンサー編集部)

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齊木由香(さいき・ゆか)

日本礼法教授、和文化研究家、着付師

旧酒蔵家出身で、幼少期から「新年のあいさつ」などの年間行事で和装を着用し、着物に親しむ。大妻女子大学で着物を生地から製作するなど、日本文化における衣食住について研究。2002年に芸能プロダクションによる約4000人のオーディションを勝ち抜き、テレビドラマやCM、映画などに多数出演。ドラマで和装を着用した経験を生かし“魅せる着物”を提案する。保有資格は「民族衣装文化普及協会認定着物着付師範」「日本礼法教授」「食生活アドバイザー」「秘書検定1級」「英語検定2級」など。オフィシャルブログ(http://ameblo.jp/yukasaiki)。

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