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口内を清潔に保つ「口腔ケア」が高齢者にとりわけ必要な理由

「オーラルフレイル」という考え方

Q.若年者と高齢者における、口腔内の状態の違いは。

園田さん「高齢になると体が老化するように、口腔内にも老化現象は起こります。例えば、唾液の分泌量の減少、歯の摩耗、歯茎のやせ、顎や舌の運動機能の低下などです。これにより、虫歯や歯周病、入れ歯が合わないなどのトラブルも起こりやすくなります」

Q.高齢者の口腔ケアが特に重要な理由を教えてください。

園田さん「現在『オーラルフレイル』という言葉が広がっています。オーラルフレイルは『口の衰えが全身の衰えへとつながる』という考え方です。高齢者の衰えに対しては、筋力の維持などが大切と捉えられがちですが、実は健康の維持のためには口が大きく関わっています。

口は食事をし、栄養の観点で大事な器官です。口腔機能が低下すると、食事の摂取が難しくなり、体も弱ってしまいます。口は会話をするためにも大事な器官で、口腔機能の低下により発音や会話が難しくなると、人と会ったり、外に出たりすることさえおっくうになってしまいます。つまり、口が衰えることにより、身体的・精神的・社会的な衰えにもつながるのです。だからこそ、口腔ケアによって口腔機能の衰えを予防することが大切です」

Q.高齢者の口腔ケアで、特に注意が必要な状態や気を付けるべきことは。

園田さん「高齢者の場合、口腔ケアを行った際に歯や粘膜から剥がれた汚れや細菌が誤嚥性肺炎につながることがあるため、汚れや細菌は口の中に落とさず、しっかり取り除きましょう。嚥下機能が落ちてきている場合は、水の誤嚥などの危険もあるので、うがいが可能かなどを見極め、安全な姿勢や体位を取る必要があります。

また、唾液の分泌量が減っていたり、口呼吸などで口腔内が乾燥したりしている場合には、汚れが粘膜に張り付いてしまっていることがあるので無理やり剥がさず、保湿してから汚れを落とすことが大切です」

Q.自力で口腔ケアを行いにくくなったり、歯磨きを嫌がったりする高齢者に、周囲はどのようなサポートをすればよいでしょうか。

園田さん「寝たきりや体に障害があるなど、自分で口腔ケアをすることが難しい場合、周囲の介助が必要です。本人のプライドを傷つけないよう、さりげなくサポートをします。実際に手を動かすことはリハビリにもなるため、自分でできることはなるべく本人にしてもらいます。体調が悪いときや嫌がるときは無理強いしないようにしましょう。口腔ケアを生活のリズムに組み込み、長続きさせることが大切です」

(オトナンサー編集部)

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園田茉莉子(そのだ・まりこ)

歯科医・医療法人社団正美会 吉祥寺まさむねデンタルクリニック理事

日本大学歯学部卒業。日本大学歯学部歯科病院で研修後、口腔外科を経て2012年4月より現職。クリニックでは、外来診療(一般歯科診療・口腔外科・インプラント・矯正)および訪問歯科診療を行っている。訪問診療は9年の経験あり。吉祥寺まさむねデンタルクリニック(http://kichijoji-masamune.com/)。

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