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話題の退職代行サービス、「引き継ぎが面倒」などの理由で利用される懸念はない?

「ブームは一時的」との見方も

Q.仮に、「退職を言い出すのがおっくう」など自分勝手な理由の依頼者が訪れた場合、どのように対応しますか。

刈谷さん「まず、相談を受けたら、『本来退職は労働者が自由にできる』という原則を必ず説明します。つまり、わざわざ費用を払ってまで退職代行を利用する必要はないことを理解してもらいます。それでも、弁護士を利用したいという人には、自然な流れで『なぜ弁護士を利用しての退職なのか』という話題になります。そのため、自分勝手な理由で弁護士を利用しようとしている人は、その段階で見極められます。ただし、依頼者が真実を話していることが前提ですが」

Q.費用がかかることも、自分勝手な理由の依頼者を選別するきっかけになりますか。

刈谷さん「費用は大きいと思います。退職代行の弁護士費用は、全ての弁護士費用の中でかなり安価ではありますが、気軽に利用できるほど安価ではありません。結果、自分では言い出せない何らかの理由があって、問い合わせをしていただく人がほとんどです。実際、自分勝手な理由で退職代行を利用しようとする人は今までにいません」

Q.一般企業は営利を求めるため、退職代行を利用する理由にかかわらずサービスを提供する可能性があります。

刈谷さん「現状は自分勝手な理由のために利用できるほど、提供している価格帯がそこまで安価ではないと思います。この点はさほど懸念はしていません。ただし、今後、市場競争の原理が働き、より安価になっていくことは十分考えられます。そうした競争に弁護士も巻き込まれ、サービスの質が保てなくなる弁護士が現れないか危惧しています。

また、自分勝手な理由の退職代行が横行すると、退職される会社が一番困ります。法的には辞める意思表示をすれば、労働契約を解約できます。しかし、社会保険の脱退手続きや貸与備品の返還など、退職時には数多くの手続きが必要になることが多く、こうした手続きにいちいち第三者を介入させるのは、あまり現実的ではありません」

Q.一方で、「退職代行がはやるのも一時的」との声も聞きます。退職代行は今後、どのようになるでしょうか。

刈谷さん「はやるのは一過性のような気がします。しかし、退職したくても退職できない状況の労働者は一定数存在し続けるでしょうから、その助けとなる退職代行の需要は減少するとはいえ、なくなりはしないでしょう」

Q.なぜ、退職代行の需要は減少すると予想しているのですか。

刈谷さん「退職代行の認知が広がることで、労働者・会社ともに退職に関する法律知識が増えると考えるからです。法律知識を持ったことで、労働者は退職代行を利用せず、自ら会社に退職を伝えるようになるでしょう。一方で、会社は、退職を妨害・阻止する行為を行わなくなるでしょう。

そのため、本当に退職代行を必要とする労働者は減ると思います。違法かどうかはさておき、労働者・会社ともに退職に関する法律知識を持つようになることについては、火付け役の一般企業に感謝しなければなりませんね」

(オトナンサー編集部)

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刈谷龍太(かりや・りょうた)

弁護士

1983年千葉県生まれ。中央大学法科大学院修了。弁護士登録後、都内で研さんを積み、2014年に新宿で弁護士法人グラディアトル法律事務所(https://www.gladiator.jp/)を創立。代表弁護士として日々の業務に勤しむほか、メディア出演やコラム執筆などをこなす。男女トラブル、労働事件、ネットトラブルなどの依頼のほか、企業法務において活躍。アクティブな性格で事務所を引っ張り、依頼者や事件に合わせた解決策や提案力に定評がある。

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