オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

メアドに「mama」を使う41歳主婦、夫との離婚を決意した先で陥った哀れな袋小路(上)

外で働くくらいなら離婚する

 恵梨香さんいわく、中学の卒業文集に書いた「将来の夢」はお嫁さんになること。夫の収入を頼りに家事や育児に専念し、内助の功に徹する。今や立派なお嫁さんなので、夢がかなった形です。三食昼寝付きの専業主婦生活を謳歌している恵梨香さんにとって、パートタイマーの話は青天の霹靂でした。

 例えば、社会的に自立した大人の女性。家庭だけでなく仕事や趣味も両立するのなら、メールアドレスに一人称を入れる場合、「mama」ではなく「lady」「woman」でしょう。「mama」のアドレスで、会社の上司や同僚、飲み友や趣味友とやり取りするのは恥ずかしすぎます。

 しかし、恵梨香さんのように、娘さんや夫、両親やママ友など「家庭」という半径内で暮らす分には「mama」のアドレスで十分です。「素敵な奥さん」「いい嫁さん」と褒められるだけで満足できる女性なのだから、「mama」以外の顔…職場のOLや朝活の司会、飲み会の幹事などの居場所は不要。しかし、恵梨香さんは、せっかく母親一本に絞ったのに、唯一の居場所を奪われるかもしれない危機に直面していたのです。

「あいつの稼ぎが悪いからいけないのに、何様のつもりなの?! 外で働かされるくらいなら離婚しようかなって思っています!」

 夫の何気ない一言がよほどショックだったのか、恵梨香さんは真っ赤な顔で取り乱したのですが、私は「離婚したらどうするつもりですか」と尋ねました。

「娘のために養育費は少しでも多くもらいたいと思っています。私が外で働けないんだから当然ですよね」

 恵梨香さんは威勢よく切り返してきたのですが、いかんせん一日中、「mama」のメールアドレスが表示されたスマートフォンを握りしめているので、「mama」の自意識が強く刷り込まれています。「mama」という存在は夫との結婚生活を前提に成り立っているのだから、何事も夫次第。なぜなら、夫の給料は唯一の命綱で恵梨香さんが「mama」でいられる生命線なのだから。

※「下」に続く

(露木行政書士事務所代表 露木幸彦)

1 2 3

露木幸彦(つゆき・ゆきひこ)

露木行政書士事務所代表

1980年12月24日生まれ。いわゆる松坂世代。国学院大学法学部卒。行政書士・ファイナンシャルプランナー(FP)。金融機関の融資担当時代は住宅ローンのトップセールス。男の離婚に特化し行政書士事務所を開業。開業から6年間で有料相談件数7000件、公式サイト「離婚サポートnet」の会員数は6300人を突破し、業界最大規模に成長させる。他で断られた「相談難民」を積極的に引き受けている。自己破産した相手から慰謝料を回収する、行方不明になった相手に手切れ金を支払わせるなど、数々の難題に取り組み、「不可能を可能」にしてきた。朝日新聞、日本経済新聞、ダイヤモンドオンライン、プレジデントオンラインで連載を担当。星海社の新人賞(特別賞)を受賞するなど執筆力も高く評価されている。また「情報格差の解消」に熱心で、積極的にメディアに登場。心理学、交渉術、法律に関する著書を数多く出版し「男のための最強離婚術」(7刷)「男の離婚」(4刷、いずれもメタモル出版)「婚活貧乏」(中央公論新社、1万2000部)「みんなの不倫」(宝島社、1万部)など根強い人気がある。仕事では全国を飛び回るなど多忙を極めるが、私生活では30年以上にわたり「田舎暮らし」(神奈川県大磯町)を自ら実践し「ロハス」「地産地消」「食育」の普及に努めている。公式ブログ(https://ameblo.jp/yukihiko55/)。

コメント