忘年会シーズン前に「憂鬱」の声…酒席での飲酒どう断るべき? 飲ませる側の心構えは?
忘年会シーズンを前に「酒の席で飲酒を断る方法」がSNS上で話題になっています。上手な断り方とは?

2018年も残り2カ月を切りましたが、間もなく訪れる忘年会シーズンを前に「酒の席で飲酒を断る方法」がSNS上で話題になっています。若手社員の中には、上司や先輩から酒を勧められて断れなかったり、場の空気を壊さないよう無理に飲み続けたりして、泥酔した経験のある人が少なくないようです。
背景には、飲酒を断ると「ノリが悪い」「上司が勧めているのに、なぜ飲めないのか」とたしなめられる風潮があり、SNS上では「無理やり飲ませる行為は本当に許せない」「友人が飲酒強要されて倒れたことある」「断る勇気が持てない気持ちも分かる」「忘年会シーズンが憂鬱(ゆううつ)です」などの声が上がっています。
ビジネスパーソンを悩ませる、お酒の強要と断り方について、キャリアコンサルタントの小野勝弘さんに聞きました。
「勧める側」に回るのも一手
Q.飲み会でお酒を断ることに、罪悪感や後ろめたさを覚える人が少なくないようです。
小野さん「『罪悪感や後ろめたさを感じる』のは普通の反応です。この感覚は普通であると同時に、相手や組織を考えているからこその反応だと思います。次に挙げる2点のポイントがあると考えます」
【「飲み会はお酒を飲む場である」という共通認識】
飲み会の席では「ビールで乾杯」という習慣もある上、飲み放題メニューの大半はお酒で占められています。A4程度の1枚のメニューを見て、下の方に少しだけあるソフトドリンクを選ぶことが飲み会の場で可能でしょうか。仮に選べたとしても、テーブルに届いたソフトドリンクを「私のです」と手を挙げられるでしょうか。
どこかに「飲み会の席=お酒を飲む」という認識がまだまだ根強くあり、店側も「飲み会ならお酒頼むよね?」という期待を込めたメニューにしているように思います。この共通認識の中で「お酒を飲まない」という選択をするわけですから、罪悪感や後ろめたさを感じるのもやむを得ないのではないでしょうか。
【お酒を断ることで「居場所を奪われるかもしれない」という恐怖】
お酒を断る行為が、評価など仕事に直接関係する可能性を思い描いてしまうことです。普段の関わりの中で仕事をする以上、「楽しく食事ができた」という印象が後の仕事に影響するケースも考えられます。例えば、重要な仕事を誰に任せるか検討している時に、食事の場での打ち合わせを考慮して、お酒をたしなむ人を選ぶことがないとは言い切れません。極端な例では、取引先との会食の有無にかかわらず、「飲める人に仕事を回す」というケースがあるかもしれません。
このように、お酒を通して「仕事をする場を奪われてしまう」という恐怖から、罪悪感や後ろめたさを感じる場合もあるように思います。
Q.お酒が飲めない、あるいは弱い人が上司や先輩から飲酒を強く勧められた場合、場の空気を壊さずスマートに断る方法はありますか。
小野さん「『飲酒を断ることができない関係の人からの勧め』という前提で話します。もちろん『ごまかす』『うそをつく』といった方法も考えられますが、以下のケースでは特に『しっかりと断ること』を前提に考えます」
【「断る」とはっきり意思表示する】
どちらか分からない態度のまま時間が過ぎてしまうと、空気ばかりでなく、相手との関係も壊れてしまいます。ただ、直球で「結構です」と返答してしまうと良くない結果となりがちです。
仮に、自分が言われたケースを想定してみます。お酒を注ごうとした相手に、明確な拒否を示されるわけですから、少しムッとすることが想像できるのではないでしょうか。ましてや「相手のためを思って勧めた」というケースであれば、さらに不満が募ることでしょう。
断る時のポイントは「クッション言葉」を使うことです。「恐れ入りますが」「お気遣いいただいて恐縮なのですが」といった言葉を使いながら断りましょう。
【相手の気持ちをしっかりくむ】
お酒を勧めてくる人は場を盛り上げたい一心だったり、「飲んでいない私」に気遣いをしてくれていたりするのかもしれません。こちらが相手の好意を無駄にするような態度で断ってしまうと、しこりを残します。返杯で気持ちを返したり、しっかりお礼を伝えたりするなど、相手の好意に応えてください。
小野さん「『自分が勧める側に回ってみる』というのも一つの手です。もちろん、マナーや気遣いに疲れてしまう可能性もありますし、そのような場が苦手な人もいると思います。ただ、勧める側に回ることで、飲む量をコントロールできたり、誰がお酒に強くて誰が弱いのか把握できたりします。もし、強要してきそうな人を把握できたら、遠くに席を取るなどの対策も可能になるので、発想として持っておいてもよいでしょう」
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