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「顔のむくみ」が心不全のサインに…? むくみの原因となる“病気”は4つあった【医師解説】

「顔がむくんだ」経験がある人は多いと思いますが、実は「むくみ」には病気が潜んでいるケースがあるようです。考えられる「4つの病気」とは…?

「顔のむくみ」に病気が潜んでいる…?
「顔のむくみ」に病気が潜んでいる…?

 朝起きたとき、お酒を飲んだ次の日などに鏡を見て「顔がパンパンになってる…」と「むくみ」に気付いた経験のある人は多いと思います。顔のむくみは日常的に起こりやすいものですが、eatLIFEクリニック(横浜市旭区)院長で内科医・糖尿病専門医の市原由美江さんは、「病気のサインとなっていることがある」と指摘します。「顔のむくみ」にどのような病気が潜んでいる可能性があるのか、詳しく教えていただきました。

病気の場合「顔だけむくむ」ことは少ない

「むくみ」は、医学用語では「浮腫(ふしゅ)」、顔のむくみは「顔面浮腫」と呼ばれます。浮腫とは、皮膚の内側である皮下組織に水分がたまった状態のことです。病気以外でむくむ場合の多くは、運動不足による筋力の低下や、塩分の取り過ぎ、冷え、過度の飲酒などによります。

「顔がむくみやすい人」の特徴としては、まず「女性」が挙げられます。女性は筋肉量が少なかったり、冷え症だったりすることで、もともとむくみやすい傾向があるためです。また、寝不足や不規則な生活、塩分の多い食事を好む人もむくみやすいといえるでしょう。

 一方で、「しょっちゅう顔がむくむ」「常にむくんでいるような気さえする」といった自覚がある人もいるのではないでしょうか。そうした場合、「もしかして病気…?」と気になる場合もあるかもしれませんが、何らかの病気が原因で顔がむくむ、つまり、顔のむくみが病気のサインとなることがあるというのは、事実です。

 むくみの原因となる代表的な病気として、次の4つが挙げられます。

甲状腺機能低下症……甲状腺ホルモンの分泌が低下する病気です。甲状腺ホルモンは全身の新陳代謝の調整をしているため、不足すると水分の代謝が悪くなり、むくみが生じます

心不全……心臓から十分な血液を送り出せなくなるため、静脈で血液がうっ滞してむくみます

腎不全……腎臓の機能が悪くなることで尿量が減り、全身に水分がたまることでむくみが生じます

肝不全……肝臓が本来作っているタンパク質が作れなくなることで、「低アルブミン血症」となり、血管内の水分が血管外に漏れ出ていくことでむくみます

 こうした病気が潜んでいる可能性のある「むくみ」には、いち早く気付きたいもの。そのためのポイントがいくつか存在します。

 まず、病気が隠れている場合は、顔だけむくむことは少なく、両下腿(膝から足首までの部分)もむくむことがほとんどです。これは、心臓から遠くに位置していることで血流が悪くなりやすいことや、重力で水分がたまりやすいことが原因です。

 また、長期間にわたってむくみが出ている場合も要注意です。顔や足のむくみが1週間以上続き、特に息苦しさや倦怠(けんたい)感を自覚する場合や、尿量の減少を自覚する場合は、早めに病院を受診してください。

 受診時は内科で問題ありませんが、内科の血液検査で異常がなかった場合、心臓が原因の可能性が考えられるので、循環器内科を受診することがよくあります。

 このようなむくみに心当たりがあったら、早めに病院を受診することをおすすめします。

(オトナンサー編集部)

【要注意】「えっ…怖すぎる…」 これが「むくみ」に潜んでいるかもしれない“病気”です…!(4つ)

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市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

eatLIFEクリニック院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。eatLIFEクリニック(https://eatlife-cl.com/)。

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