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ただの「下痢」と油断しちゃダメ 大腸がん&難病の可能性も 受診すべき目安は? 消化器病専門医が注意点を解説

下痢が生じる原因や対処法について、消化器病専門医に聞きました。

下痢の原因は?
下痢の原因は?

 日常生活で「下痢」に悩まされたことはありませんか。食べ過ぎた後やお酒を飲み過ぎた後などに起きることがある一方、原因がよく分からないまま起きることもあります。

 そもそも、なぜ下痢を発症するのでしょうか。症状が長引く場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。下痢の原因や注意点について、四谷内科・内視鏡クリニック(東京都新宿区)院長で、消化器病専門医の高木謙太郎さんに聞きました。

疲労やストレスで慢性化する場合も

Q.そもそも、「下痢」が生じる原因について、教えてください。

高木さん「下痢を起こす原因については、『急性』と『慢性』に分けて解説したいと思います。下痢の持続期間が14日以内であるものは『急性下痢』、15日以上4週間未満のものは『遷延性下痢』とそれぞれ定義されています。急性下痢の原因としては食べ過ぎのほか、アルコールや脂肪分の摂取過多、ウイルスや細菌による感染症、内服薬の服用が挙げられます。

一方、4週間以上持続または反復する下痢のために日常生活にさまざまな支障をきたした病態は、『慢性下痢』と定義されています。慢性下痢を引き起こす主な原因としては、生活習慣や疲労のほか、ストレスによる『下痢型過敏性腸症候群』、潰瘍性大腸炎やクローン病などの免疫異常による下痢、糖尿病、慢性肝疾患、慢性すい炎、甲状腺疾患、大腸がんなどの病気による下痢が挙げられます」

Q.下痢が生じた場合、どのように対処したらよいのでしょうか。具合が悪くない場合、様子を見てもよいのでしょうか。注意点も含めて、教えてください。

高木さん「まずは食事量を減らし、十分に水分を摂取することを心掛けましょう。感染症の可能性もあるため、飲食業に従事する人や体力や免疫が低下している人が周囲にいる場合は、手洗いや排便後にトイレを消毒するなどの感染予防を行ってください。

自分で水分を摂取できる場合は、様子を見てもよいと思いますが、急激に体調が悪化した場合は速やかに医療機関を受診しましょう」

Q.下痢が数日続く場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。この場合、医療機関を受診した方がよいのでしょうか。

高木さん「刺し身や生野菜など、生ものの摂取後に下痢が数日続く場合のほか、自分だけでなく周囲の人も下痢の症状が続いている場合、感染性腸炎の疑いがあります。すぐに医療機関を受診してください。

また、下痢の際に次のケースに該当する場合は、速やかに医療機関を受診した方が良いと考えられます」

【下痢の発症後、早めに医療機関の受診した方が良いケース】
・自力で食事や水分摂取ができないほか、体力が急激に低下し、脱水症が疑われる場合

・乳幼児や高齢者が下痢を発症した場合

・基礎疾患がある人が下痢を発症した場合

・飲食業に従事している人が下痢を発症した場合

・海外から帰国後に下痢を発症した場合

・下痢とともに激しい腹痛や血便が見られる場合

 食べ過ぎや飲み過ぎだけでなく、感染症や病気などが原因で下痢が起きることもあるということです。下痢の際に体に異変を感じた場合は、できるだけ早めに医療機関を受診しましょう。

(オトナンサー編集部)

【画像】心当たりがあるかも…これが「下痢」の主な“原因”です

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高木謙太郎(たかぎ・けんたろう)

医師、四谷内科・内視鏡クリニック院長

2007年3月、東京慈恵会医科大学卒業。同年4月、東京慈恵会医科大学付属柏病院勤務。その後、東京都立墨東病院 救命救急科 消化器内科、東京都保健医療公社豊島病院 消化器内科などの勤務を経て、2022年5月に「予防医学を世の中に広め、健康寿命を伸ばし社会に貢献する」を理念に、「四谷内科・内視鏡クリニック」(東京都新宿区)を開業。専門的で高度な医療を提供することは当然のこと、人と人とのつながりを大切にし、心の通った医療を提供することをモットーに地域医療を行っている。日本内科学会 総合内科専門医、日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医、日本消化器病学会 消化器病専門医、日本ヘリコバクター学会 ピロリ菌感染症認定医、日本医師会認定産業医。四谷内科・内視鏡クリニック(https://www.yotsuya-naishikyo.com/)。

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