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激痛を伴うケースも…妊娠中に「胃痛」が起こるのはどうして? 産婦人科医が原因を解説

妊娠期間中、「胃痛」に苦しめられる妊婦は少なくないようです。妊娠中に起こる胃痛の原因は何なのか、産婦人科医に聞いてみました。

妊娠中の「胃痛」…原因は?
妊娠中の「胃痛」…原因は?

 6月14日、タレントの西野未姫さんが、第1子妊娠中の経過についてYouTubeに動画を投稿。「胃痛」に悩まされていることを明かしました。西野さんは、つわりが落ち着いた頃から胃痛が起こるようになったといい、動画には「本当に大丈夫なのかなって心配になるくらい」の“激痛”に苦しんでいる様子も。

 胃カメラによる検査を受けても問題はなかったとのことですが、ネット上では「妊娠中の胃痛はつらいよね」「私もめちゃくちゃ胃痛あったな…」「胃痛ひどかったからすごく分かる」など共感の声が上がる一方で、「どうして胃痛になるのかな」「爆食してたわけじゃないのに」「妊娠中の体調の変化って不思議」など、胃痛が起こる原因に関する疑問の声も聞かれます。

 そこで、妊娠中の「胃痛」に関するさまざまな疑問について、神谷町WGレディースクリニック(東京都港区)院長で産婦人科医の尾西芳子さんに聞きました。

胃潰瘍、胃がんが原因だった事例も

Q.妊娠中に「胃痛」が起こることがあるのは事実ですか。

尾西さん「妊娠中に胃痛が起きやすいのは確かです。妊娠の時期によって、その原因は異なります」

・妊娠初期……つわりによる胃酸の過多
・妊娠中期……増加するホルモンによって胃腸の動きが悪くなり、消化能力が落ちる
・妊娠後期……大きくなる子宮に胃が押され、逆流性食道炎が起きやすくなる
・妊娠中の全期間……免疫力が低下するため、食あたりなどの胃腸炎を起こしやすくなる

Q.妊娠中に胃痛が起こりやすい女性の特徴はありますか。

尾西さん「『カフェインが好き』『妊娠前に暴飲暴食をしていた』『肥満』『辛い物が好き』などに当てはまる女性はハイリスクとなるため、要注意です。このうち、『肥満』は胃が圧迫を受けやすくなるためです」

Q.妊娠中の胃痛に、何らかの病気・疾患が潜んでいる可能性もあるのでしょうか。

尾西さん「軽度の場合は、胃腸炎(食あたり)や逆流性食道炎などが考えられますが、胃潰瘍、胃がんが原因で胃痛が起こっていた患者さんも実際にいらっしゃるため、侮れません。

痛みだけでは判断できませんが、1週間以上続く場合や、胃薬が効かない場合などは、きちんと検査を受けましょう」

Q.妊娠中、胃痛が起こったときはどうすればいいですか。

尾西さん「まずは、小さな変化でも、かかりつけの産婦人科医に相談してみましょう。様子を見るか迷った場合は、次の症状を参考にしてみてください。

・おなかが張った感じ、慢性的に胃もたれしている感じ……妊娠による消化能力の低下の可能性
・胃痛が急激に発症した……急性胃腸炎(食あたり)の可能性
・横になると悪化する、喉の奥が酸っぱい感じがする、咳(せき)が出る……逆流性食道炎の可能性
・吐血、便が黒くなるなど……胃潰瘍、胃がんの可能性

胃痛をなるべく避けるには、カフェインや辛いものなどの刺激物を控えること、一回に食べる量は少なめにし、数回に分けて食事をすること、消化にいいものを食べること、食べてすぐは横にならないことなど、日常生活でできる小さな工夫から始めてみましょう」

(オトナンサー編集部)

【閲覧注意】「すごい…!」 これが体外に出てきた「胎盤」の見た目です(写真)

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尾西芳子(おにし・よしこ)

産婦人科医(神谷町WGレディースクリニック院長)

2005年神戸大学国際文化学部卒業、山口大学医学部学士編入学。2009年山口大学医学部卒業。東京慈恵会医科大学附属病院研修医、日本赤十字社医療センター産婦人科、済生会中津病院産婦人科などを経て、現在は「どんな小さな不調でも相談に来てほしい」と、女性の全ての悩みに応えられるかかりつけ医として、都内の産婦人科クリニックに勤務。産科・婦人科医の立場から、働く女性や管理職の男性に向けた企業研修を行っているほか、モデル経験があり、美と健康に関する知識も豊富。日本産科婦人科学会会員、日本女性医学学会会員、日本産婦人科乳腺学会会員。オフィシャルブログ(http://ameblo.jp/yoshiko-onishi/)。

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