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「朝起きられない」は「睡眠不足」とは限らない 精神科医が指摘する“病気”の可能性

どのような対策が必要?

Q.では、起床困難を改善するには、どのような取り組みが有効なのでしょうか。医療機関を受診する目安も含めて、教えてください。

飯島さん「起床困難の状態を改善するためには、基本的にまず睡眠衛生を改善する必要があります。毎日決まった時間に就寝・起床し、規則正しい睡眠・覚醒のリズムを作ることが大切です。

就寝前にスマホやパソコン、テレビの過度な使用を控えるとともに、『カーテンなどで屋外から入る光を抑える』『室温を適度に保つ』『静音』などで寝室の環境を整えることも重要でしょう。ベッドは睡眠以外の目的で使用せず、日中は適度な運動を心掛けるのも良い習慣です。

また、朝の太陽光を浴びることで体内時計のリセットを図ったり、人工照明を用いた光療法器具を使用したりするのも選択肢の一つとなります。起床時に爽快な音楽を聴いたり、朝食後に軽い運動を習慣化したり、コーヒーなどのカフェイン飲料を上手に活用したりなど、覚醒を促すさまざまな工夫も効果的でしょう。ただし、睡眠の質に影響を与えるため、午後以降のカフェインの摂取を控える必要があります。

これらの工夫を試みても、起床困難の状態が改善されない場合は、医療機関の受診を検討する必要があります。具体的には、2週間以上症状が持続する場合や日中の眠気が強く、日常生活に支障をきたす場合のほか、気分の落ち込みや意欲の低下が生じる場合、不安感が強い場合、いびきや呼吸停止、むずむず脚の症状を伴う場合などが、医療機関を受診するタイミングと言えるでしょう」

Q.起床困難は、どのような人に生じやすいのでしょうか。

飯島さん「先ほども少し説明しましたが、成人と比べて子ども、特に思春期の子どもたちに起床困難のケースが多く見られる印象があります。その背景には、いくつかの特徴的な要因が考えられます。先述の話と重なりますが、もう一度おさらいします。

思春期には生物学的に睡眠・覚醒リズムが後退する傾向にあり、生活が夜型化しやすく、朝の覚醒が難しくなりがちです。加えて、学業や受験、友人関係、家族関係など、思春期特有の発達課題によるストレスも睡眠衛生を乱す大きな要因となります。

また、現代の子どもたちはスマホやゲーム機器の使用に熱中しがちで、夜間の使用が睡眠の質の低下と睡眠リズムの乱れを招いています。こうした人工光が睡眠を阻害する傾向は、特に子どもに顕著です。夜間、たとえ短時間でもこれらの人工光にさらされれば、普通に起床できる子どもの方が逆に珍しいでしょう。

疾患という観点からも、先述の起立性調節障害は、多くの場合、成人前の子どもに起きる病気ですし、思春期はうつ病や不安障害、統合失調症などの精神疾患が好発する時期でもあります。加えて、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)などの発達障害も、小児期から思春期にかけて顕在化してきます。これらの疾患では起床困難が主要な症状の一つとなり得ます。

このように、子どもたちの起床困難は、成人よりもさらに要因が複雑です。だからこそ、子どもの起床の問題は、単に『怠け』や『わがまま』として片付けるのではなく、心身の健康状態を総合的に評価し、適切な支援につなげていく姿勢が求められます。

子どもの起床の問題でお悩みの人は、まずは身近な小児科医に相談してみることをお勧めします。必要に応じて、さらに高い専門性を持った小児神経専門医や児童精神科医を紹介してくれるでしょう。子どもたちの『起きられない』という声に、もっと耳を傾けていく必要があるのかもしれません」

(オトナンサー編集部)

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飯島慶郎(いいじま・よしろう)

不登校/こどもと大人の漢方・心療内科 出雲いいじまクリニック 院長

精神科医、臨床心理士、公認心理師。全国初の不登校専門クリニックとして、不登校の背景に潜む精神疾患の積極的な診断と治療介入を行っている。著書に『不登校は病気? ~医師の診断が子供と家族を救う~』(みらいパブリッシング)。

不登校/こどもと大人の漢方・心療内科 出雲いいじまクリニック(https://sites.google.com/view/izumo-iijima-clinic)。

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