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手取り「月13万」で昇給見込めず不安 発達障害・27歳男性に社労士が差し伸べた“救いの手”

職場や日常生活での困難さを文書にする

 現在の佐藤さんの主な仕事は、パソコンによるデータ入力のほか、文書のファイリングや郵送、シュレッダーを使った文書の廃棄などです。どの仕事もやり方を理解するまでに時間がかかり、仕事は遅いとのことでした。

 また、周囲の音が気になって集中できないこともあり、そのようなときはデータの入力ミスが増えてしまうそうです。長い文章を読んだり、長い話をされたりしてしまうと理解が追い付かないこともあり、とても苦労しています。

 以前、理解できないまま、自分勝手に仕事を進めてしまい、上司から指摘を受けたこともあるので、仕事の指示は職場にいる支援者に一つ一つ丁寧に説明をしてもらうようになりました。上司に口頭で状況報告をする前にカンペを作成し、支援者に添削をしてもらうこともあるようです。職場でのサポートが手厚いため、何とか仕事は続けられているとのことでした。

 大まかな聞き取りだけでも、佐藤さんは職場で支援を受けなければ、仕事を進めることが困難である様子が伝わってきました。

 そこで私は言いました。

「今、お話しいただいたようなエピソードを、できるだけたくさん文書にまとめていきましょう。なお、発達障害がある人は、病歴・就労状況等申立書には幼少期から現在までの日常生活の困難な状況を記入することになっています。こちらも当時からの状況をお話しいただければ、私の方で作成します。その他の必要書類も私の方で作成することもできます。ご安心ください」

「それはすごく助かります。文章を書くのは苦手ですし、自分でスケジュールを組んで予定通りに進めていくことも苦手なので、ぜひお願いしたいです」

 佐藤さんは、ほっとした表情を浮かべました。

 面談後、私は佐藤さんへのヒアリングを重ね、職場での状況および日常生活の困難さを文書にまとめていきました。幼少期から現在までの状況をまとめる作業では、佐藤さんは幼少期の記憶があいまいだったため、佐藤さんの母親からも聞き取りをしました。

 出来上がった文書を佐藤さんの担当医にも確認していただき、診断書の作成を依頼。何とか佐藤さんの状況を踏まえた内容の診断書を作成してもらうことができました。

 その後、私は年金請求書など、障害年金の請求に必要なその他の必要書類をそろえ、請求を完了させました。

 請求から3カ月が経過した頃、佐藤さんから「無事、障害基礎年金の2級が認められた」という報告を受けました。

 2024年度の金額に基づくと、障害基礎年金2級の支給額のほか、障害基礎年金の受給者のうち、一定の条件を満たした人に支給される「障害年金生活者支援給付金」を合わせると、佐藤さんの収入は月額7万3310円となります。これに給与の手取り収入を合わせると、佐藤さんは月に約20万円を得ることができます。

「これくらいの金額があれば、安心して今の仕事を続けることができそうです。ご協力いただき、どうもありがとうございました」

 佐藤さんからの報告を受け、私は胸をなで下ろしました。

(社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー 浜田裕也)

【画像】どんな書類が必要なの? これが「障害基礎年金」の“受給要件”です

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浜田裕也(はまだ・ゆうや)

社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー

2011年7月に発行された内閣府ひきこもり支援者読本「第5章 親が高齢化、死亡した場合のための備え」を共同執筆。親族がひきこもり経験者であったことから、社会貢献の一環としてひきこもり支援にも携わるようになる。ひきこもりの子どもを持つ家族の相談には、ファイナンシャルプランナーとして生活設計を立てるだけでなく、社会保険労務士として、利用できる社会保障制度の検討もするなど、双方の視点からのアドバイスを常に心がけている。ひきこもりの子どもに限らず、障がいのある子ども、ニートやフリーターの子どもを持つ家庭の生活設計の相談を受ける「働けない子どものお金を考える会」メンバーでもある。

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