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意外と知らない「チョコレート嚢胞」の原因&症状…“破裂”することもあるって本当なの? 産婦人科医が解説

特徴的な病名で知られる「チョコレート嚢胞」ですが、「実は原因や症状がよく分からない」という女性もいるのではないでしょうか。産婦人科医が分かりやすく解説します。

「チョコレート嚢胞」のこと、正しく知ってる?
「チョコレート嚢胞」のこと、正しく知ってる?

 婦人科疾患の一つである「チョコレート嚢胞」。3月には、女優の菜々緒さんが20代の頃からチョコレート嚢胞を患っていたことを告白し、話題となりました。その特徴的な病名ゆえ、名前を耳にしたことがある女性は多いと思いますが、原因や症状を正しく知っている女性は案外少ないかもしれません。

 痛みはあるのか、どんな女性がかかりやすいのか……「チョコレート嚢胞」とはどんな病気なのでしょうか。神谷町WGレディースクリニック院長で産婦人科医の尾西芳子さんが解説します。

チョコレートのように茶色い「血液」がたまり…

 チョコレート嚢胞は、「子宮内膜症」の病態の一つです。

 子宮内膜症とは、子宮の内膜と同じ成分が子宮の外(腸や卵巣、腹膜など)にでき、月経のたびに子宮外でも出血する病気です。卵巣に病変がある場合、出血がたまり、古くなった血液がチョコレートのように茶色くなるので、「チョコレート嚢胞」と呼ばれます。

 このチョコレート嚢胞について、「破裂する場合がある」と聞いたことがある人も少なくないのではないでしょうか。これは事実といえます。

 チョコレート嚢胞は、卵巣の中にできた水風船のようなものです。そのため、ある程度大きくなると破れて、中にたまった血液が出てきてしまうことがあります。その場合、救急車を呼ばなければならないほどの激しい腹痛が起こります。破裂後に放置してしまうと、骨盤内で炎症が起き、最悪の場合は命にも関わります。

 では、チョコレート嚢胞になりやすい女性の特徴はあるのでしょうか。

 結論から言うと、チョコレート嚢胞ができるのは体質によるため、なりやすい特徴というものはありません。しかし、「10代の頃から月経痛がひどい」「月経痛が年々悪化している」「月経時に、痛み止めの薬が効かなくなってきた」といった症状がある場合は、将来的に子宮内膜症になる可能性が高いといわれています。低用量ピルなどを服用することで、悪化を防ぐことは可能です。

 中には、「一度、チョコレート嚢胞になると、ずっと付き合っていかなくてはいけないのか」と不安に思う女性もいると思います。

 チョコレート嚢胞は、ある程度の大きさに達するまでは手術をせずに、ホルモン剤で悪化を防いでいきます。手術をしても再発することが多いため、低用量ピルや黄体ホルモン製剤などのホルモン剤を使って継続治療をするケースが多く、そういった意味では“付き合っていく病気”といえるでしょう。

(オトナンサー編集部)

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尾西芳子(おにし・よしこ)

産婦人科医(神谷町WGレディースクリニック院長)

2005年神戸大学国際文化学部卒業、山口大学医学部学士編入学。2009年山口大学医学部卒業。東京慈恵会医科大学附属病院研修医、日本赤十字社医療センター産婦人科、済生会中津病院産婦人科などを経て、現在は「どんな小さな不調でも相談に来てほしい」と、女性の全ての悩みに応えられるかかりつけ医として、都内の産婦人科クリニックに勤務。産科・婦人科医の立場から、働く女性や管理職の男性に向けた企業研修を行っているほか、モデル経験があり、美と健康に関する知識も豊富。日本産科婦人科学会会員、日本女性医学学会会員、日本産婦人科乳腺学会会員。オフィシャルブログ(http://ameblo.jp/yoshiko-onishi/)。

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