オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

「人に迷惑をかけてはダメ」と言われて育った子どもはどうなる? 親がわが子に願うべき“本当の自立”とは

できる人に頼ることも「自立の形」

 私の息子は知的障害を伴う自閉症児として育ち、現在23歳です。

 息子が中学生のとき、「一人で買い物ができるようにお金の計算をマスターさせよう」と、私は必死になっていました。そんなとき、特別支援学級の担任からこう言われました。

「大切なのは、誰かに助けを求められること。何でも自分一人の力でできるようにならなくてもいいです。財布を広げて、『僕はお金が分からないので取ってください』と言えば、店の人が助けてくれる。できる人に頼ることも自立の形です」

 息子は計算ができません。しかし、一人で買い物をし、切符を買い、外食をすることもできます。なぜ、それができるのかというと「僕は計算ができないので、このお財布から取ってください」と、自分でお店の人にお願いしているからです。親亡き後のことを考えると、誰かにSOSを出せる勇気を持たせたいので、これを続けさせています。

 障害がなくても、人には得意/不得意があります。何でも満遍なくオールマイティーにできるように育てるより、「できないときに、誰かに頼る力」を育てることが大切だと思います。

 次のような「親の子育てポリシー」は、裏を返せばこのような意味にも捉えられます。

・「人に迷惑をかけない子」…困ったとき、親以外の誰かにSOSを出せない子
・「どこへ出しても恥ずかしくない子」…自分が他人からどう見られるかを最優先する子
・「我慢ができる子」「弱音を吐かない子」…「つらい、苦しい」と本心を言えない子
・「わがままを言わない子」…自己主張しない子、他人の批判を気にして自分の意見を言わない子

 一見するとまっとうな子育てポリシーも、一度立ち止まって、考え直してみてもいいのではないでしょうか。

(子育て本著者・講演家 立石美津子)

【イラストで知る】「独り言を言う」「偏食」…発達障害児にみられることのある行動5つ

画像ギャラリー

1 2

立石美津子(たていし・みつこ)

子育て本著者・講演家

20年間学習塾を経営。現在は著者・講演家として活動。自閉症スペクトラム支援士。著書は「1人でできる子が育つ『テキトー母さん』のすすめ」(日本実業出版社)、「はずれ先生にあたったとき読む本」(青春出版社)、「子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方」(すばる舎)、「動画でおぼえちゃうドリル 笑えるひらがな」(小学館)など多数。日本医学ジャーナリスト協会賞(2019年度)で大賞を受賞したノンフィクション作品「発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年」(中央公論新社、小児外科医・松永正訓著)のモデルにもなっている。オフィシャルブログ(http://www.tateishi-mitsuko.com/blog/)、Voicy(https://voicy.jp/channel/4272)。

立石美津子(たていし・みつこ) 関連記事

もっと見る

著書案内(立石美津子)1 関連記事

もっと見る

著書案内(立石美津子)2 関連記事

もっと見る

編集部おすすめ記事

ライフ 最新記事

ライフの記事もっと見る

コメント

CAPTCHA