夜遅い夕食で“糖尿病”リスク増は本当? どうすればいいの? 対策を専門医に聞く
夜遅い時間に夕食を取ると、糖尿病のリスクが上がるのは本当なのでしょうか。糖尿病専門医に聞きました。
仕事がなかなか終わらず、夜遅くに夕食を取ることはありませんか。ネット上では、「夜遅い時間に食事をすると、血糖値が上がる」という内容の情報があり、夕食を控えるべきか迷うことがあります。
夜遅い時間に食事をした場合、糖尿病のリスクが上がるのは本当なのでしょうか。どうしても夜遅い時間でなければ夕食を取れない場合、どのような取り組みが有効なのでしょうか。「eatLIFEクリニック」(横浜市旭区)院長で、内科医・糖尿病専門医の市原由美江さんに聞きました。
翌朝まで血糖値が高い状態が続く
Q.そもそも夜遅い時間に食事をした場合、糖尿病のリスクが上がる可能性はあるのでしょうか。
市原さん「血糖値が上がる可能性があります。そもそも食事の直後は、血糖値が高くなりますが、その後、膵臓(すいぞう)から分泌される『インスリン』というホルモンによって血糖値が調整され、徐々に下がっていきます。ただ、インスリンの働きは食後の運動など、体の動かし具合で変わってきます。
夜遅い時間に食事をすると、その後、体をあまり動かさずにすぐに寝てしまうことが多いと思います。そうなると、血糖値が高い状態が翌朝まで続くことがあります。
また、脂質は血糖値が高い状態を維持させるため、脂質を多く含むものを夜遅くに食べると、翌朝も血糖値が高い状態が続きます。実際に、夜遅い時間に脂質が多い食べ物をたくさん食べたことがきっかけで、翌朝も血糖値が高い患者さんは多いです」
Q.仕事の関係上、どうしても夜遅い時間でなければ夕食を取ることができない場合、どうしたらよいのでしょうか。夜遅くに摂取しても問題ない食べ物、夜遅くに摂取を控えた方がよい食べ物について、それぞれ教えてください。
市原さん「夜遅い時間の食事は、仕事で疲れているからとつい高カロリーなものを食べてしまうことが多いように感じます。寝る直前に食事をすると、夜間の血糖値や中性脂肪値が高くなり、動脈硬化のリスクを上げたり、脂肪肝を促進させてしまったりすることなどが懸念されます。
夕食の時間が遅くなるのであれば、食後に片付けや入浴などで体を動かし、食後4~5時間が経過してから寝るようにすると、血糖値の上昇を防ぐことができます。ただし、あまり現実的ではないと思います。
そこで、夜遅い時間に食事をする場合、炭水化物や脂質の摂取を控えるとともに、食べる量を腹八分目以下に調節するのがよいでしょう。お勧めの食材は豆腐や魚、野菜、海藻類です。
また、仕事の関係でどうしても夕食の時間が遅くなることが多い場合、夕方と帰宅後の2回に分けて、食事をするのをお勧めします。例えば、夕方、仕事の合間におにぎりやサンドイッチなどの軽食を食べ、帰宅後に肉や魚といったおかずだけを食べると、血糖値の急激な上昇を抑えられるほか、食べ過ぎの防止につながります」
Q.夜遅い時間に食事をする際にお酒を飲む人がいますが、この場合、血糖値が上がる可能性はあるのでしょうか。
市原さん「お酒によって異なります。ワインのほか、ウイスキーや焼酎などの蒸留酒には糖質があまり含まれていないため、これらのお酒を飲んでも血糖値は上がりません。ただし、飲酒時に食事量が増えてしまうと血糖値が上がるため、注意しましょう」
Q.夜遅い時間だという理由で夕食をまったく取らない人がいます。この場合、体にどのような影響を及ぼす可能性があるのでしょうか。
市原さん「水分摂取をきちんとしていれば、大きな問題はありません。ただし、朝と昼の食事で糖質や脂質、タンパク質、ミネラル、食物繊維などをバランスよく摂取していない状態が長期間続いた場合、栄養不足による免疫力の低下が懸念されます」
(オトナンサー編集部)
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