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IT講師はなぜ殺害されたのか ネットコミュニケーションの難しさと求められる「教育」

未成年の教育と対策が重要

 ネット利用の低年齢化が進んでいる昨今、ネットコミュニケーションにおける「誤解」を発端としたトラブルが未成年の間でも増えています。

 ある女子中学生は、アイドルグループのファンサイトで知り合った人とトラブルになりました。発端はファン同士のささいな口論でしたが、双方がSNSで相手の悪口を広めるなど、誹謗中傷合戦になってしまったのです。その後、女子中学生の個人情報がネット上でさらされ、頼んでもいない商品が自宅に届くなどの嫌がらせ行為を受けました。

 別の女子高校生は、オンラインゲームで仲良くなった男子高校生から、レアアイテムやゲームコインなどのプレゼントをもらっていました。ある時、相手から「会いたい」と言われて断ったところ、通っている学校名を突き止められ、ストーカーのようにつきまとわれたのです。

 発端はささいな行き違いでも、子ども同士の未熟な関係性の中では収拾がつかなくなり、深刻なトラブルに発展しがちです。今回の事件のように、ネットの憎悪を発端として未成年がリアルに危害を加えたり、加えられたりする危険性も高まっていくかもしれません。

 だからこそ、子どもにも具体的なトラブル対処法やネットリテラシー教育がますます重要になります。

 例えば、SNSで悪口を書き込まれた時、自分一人で抱えているとどんどん嫌な気持ちになり、復讐したい、反撃したいと思ったりすることがあります。そういう時は、リアルで口に出し、周囲の人にどんどん話してみてください。友人や家族に「SNSで悪口を言われた」と話し、相手が「気にしないで無視してればいい」と言ってくれたりすると、ああ、そういう考え方もあると気付くことができます。自分の思い込みにとらわれず、他者の意見や考えを聞くことで、柔軟な発想や気付き、違う視点などを得ることができるのです。

 子どもは社会経験が不足しているため、つい狭い世界で考えがちです。例えば、クラス内でSNSトラブルなどがあると、それだけでもう「人生終わる」くらいに深刻に考えるケースもあります。

 そんな時に大人が、「今のクラスがこの先ずっと続くわけじゃない」「とりあえず今は悩むだろうけど、少したてば別の友達ができるよ」などと広い視野を与えると、発想の転換ができます。

 また、ネット上での人間関係のトラブルを防ぐためにはリアルの人間関係の「常識」が役立ちます。あいさつする、なるべく丁寧な言葉を使う、悪口は言わない、うわさ話を無責任に流さない、他人との距離感を保つ、こうしたマナーや常識をネット上でも忘れないよう指導してほしいと思います。

(文/構成・ライフスタイルチーム)

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石川結貴(いしかわ・ゆうき)

ジャーナリスト

家族・教育問題、児童虐待、青少年のインターネット利用などをテーマに豊富な取材実績を持つ。ネット、スマホの利便性の背後にある問題に追った著書「スマホ廃人」(文春新書)は、国公立大学入試問題に採用されている。2020年から共同通信社の配信により、全国の地方新聞で「スマホ世代の子どもたち~大人の知らない最新事情」を連載。テレビ出演や全国各地での講演会など幅広く活動する。その他の著書は「子どもとスマホ」(花伝社)「ルポ 居所不明児童」(筑摩書房)など多数。

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