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「若者と薬物」の現場から~先輩に大麻を渡された18歳・暴力団員に覚せい剤漬けにされた16歳~

出会い系サイトがきっかけになった女子高生

「ドラッグなんて関係ない世界のことだと思ってた」

 本人も周りも、そう思うような「普通の子」が覚せい剤中毒になってしまうケースもあります。

 サキ(16歳・仮名)は公立高校に通うごく普通の女子高生でした。会社員の父親、パート主婦の母親、中学生の弟の4人家族。いわゆる、非行に走るような環境で育った子ではありません。

 しいて言うならば、ご両親のしつけが少々厳しめだったのかもしれません。

「とにかく家にいたくなかった」

 ある日、学校の成績や帰宅時間について両親と口論になったサキは、家出先を求めて出会い系サイトに登録。そこで知り合った男性に誘われるまま、ホテルへ行きます。陽気な会話で楽しませてくれる相手の人柄にホッとしたのもつかの間、服を脱いだその男の背中には一面の入れ墨が……暴力団組員だったのです。

「マズイ」と気づいたところで、16歳の少女がホテルの一室という閉ざされた空間から逃げるすべはありません。抵抗する間もないまま、サキは相手の男に覚せい剤を打たれてしまいます。

「悪いことをしている」という自覚はあったため、ますます家には帰りづらくなってしまったサキ。暴力団組員の男性に体を差し出す代わりに、居場所と覚せい剤を提供してもらっていたそうです。

 そんな生活がズルズルと3カ月続いた結果、ごくごく普通の女子高生だった少女は、じゅうたんに落ちたわずかな覚せい剤の粉を床にはいつくばってかき集めるような、重度の薬物中毒者になっていました。

 覚せい剤は一度使用したらアウト。覚せい剤に含まれるアンフェタミンが脳内のドーパミンを大量に発生させるため、自力で元の状態に戻ることは不可能です。覚せい剤をはじめとする興奮系薬物の使用者には、驚いたように目を見開いている、常にイライラしている、ささいな音にびっくりする、といった特徴があります。その姿はまさに狂人です。

 両親から捜索願が出されていたサキは、コンビニ前でたむろしているところを警察に補導され、覚せい剤の使用反応が出たため逮捕されました。

「まさか自分がこうなるとは思わなかった」

 鑑別所から出たサキと初めて面談した際、彼女はこうつぶやいていました。

 一度でも薬物を使用すると、心身ともに健康を損なうだけでなく、人生が大きく狂い、社会的に重大な犯罪にもつながります。最悪の場合は死に至ることも……。絶対に手を出してはいけないのです。

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上條理恵(かみじょう・りえ)

少年問題アナリスト

少年問題アナリスト、元上席少年補導専門員、東京経営短期大学特任准教授。小学校、中学校、高校講師を経て、1993年より、千葉県警察に婦人補導員として、青少年の非行問題(薬物問題・スマホ問題・女子の性非行)・学校との関係機関の連携・児童虐待・子育て問題に携わる。学会活動として、非行臨床学会の会員としての活動も行う。小中学生、高校生、大学生、保護者、教員に向けた講演活動は1600回以上に及ぶ。

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