「虫歯がなければ歯周病にならない」→実は誤り! 実際のところを歯科医師に聞いてみた
虫歯は1本もないのに、歯がぐらつき…
Q.日常の歯磨きタイムでチェックするとよいことや、NG行為はありますか。
角田さん「いつもと同じ歯ブラシで、いつもと同じ歯磨きをしているのに、部分的に歯茎が痛かったり、うがいしたときに血が混じっていたりした場合などはセルフチェックができますね。また、毎日ではなくてよいので、鏡で口を開けて見える範囲でのチェックをしたり、マッサージを兼ねて歯茎を触ってみたりするのも有効です。異常がなくても、歯科医院を受診するモチベーションになるでしょう。
一方、やってはいけないNG行為は次の3点です。
【(1)つまようじを使う】
「歯と歯の間に食べ物が詰まり、つまようじで取っていたら歯茎が痛くなって腫れてきた」という患者さんが多いのですが、自分で歯茎を傷つけてしまう行為は避けるべきしょう。詰まってしまった場合、除去には歯間ブラシやデンタルフロスを使うのが安全で効果的ですが、そもそも詰まりやすいのであれば早めに歯科医院の受診をお勧めします。
【(2)ゴシゴシ磨く、極端に硬い歯ブラシを使う】
「より磨き残しがなくなる気がするから」と、“ゴシゴシ”磨く人がいらっしゃいます。ゴシゴシ磨くより、自分に合った歯ブラシで一本一本丁寧に磨くのがよいと思います。また、「硬い歯ブラシじゃないと磨いた気がしない」人もいるかもしれませんが、歯や歯茎を傷つけるだけで、プラークが落ちていないこともあります。
【(3)歯磨き粉をつけ過ぎる】
歯磨き粉をつけ過ぎると、唾液まみれになり、うまく磨けません。できれば、まず歯磨き粉をつけずに丁寧に磨き、最後に少量つけて磨くのがよいと思います。
Q.ちなみに、「虫歯がない人が歯科医院を久しぶりに受診したら、歯周病が進行していた」という患者さんのケースは実際にあるのでしょうか。
角田さん「あります。以前、『自分は若いときから歯磨きしなくても虫歯にはならなかった。でも最近、歯がしみたり、かみにくくなったりしてきた』といった症状で受診されたご高齢の患者さんがおられました。
確かに虫歯は1本もなくきれいなのですが、歯を支えている骨が溶け、歯の根が露出して知覚過敏を起こしていた上、歯周病が進行し、ぐらつく歯が多くみられました。ほとんど歯科医院を受診されたことがなかったため、歯磨きが自己流で、磨き残しが多い状態でした。
手遅れの状態の歯が多く、徐々に進行する過程で歯周病の症状は出ていたはずですが、自然と症状が落ち着いたり、『自分は歯が丈夫』という自己解釈をしていたりして、受診につながらなかったようです。この患者さんは、丁寧に時間をかけて説明しましたが、『自分は歯が丈夫』と思われており、ご自身の現状を受容していただくには時間がかかりました。
歯周病は、全身に影響を及ぼす病気です。糖尿病との密接な関係をはじめ、歯周病菌や歯の根の細菌が血液を介して心臓に達することで炎症を起こしたり、脳に達して膿(うみ)を作ったりしたケースも、これまでの治療で経験してきました。また、最近では外科での臓器手術に際し、術後のリスクマネジメントとして歯科口腔(こうくう)の術前評価が一般的になってきました。これは、全身への影響が重要視されていることでもあります。
歯や歯茎、口腔の諸組織も、心臓や脳と同じ体の一部です。特に、お口の中はセルフケアがしやすい部分なので、使うばかりでなく、自分の体の一部としていたわってあげてください。
(オトナンサー編集部)

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