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歯科医師が提言! 一生「自分の歯」で食べるために…今すぐできる“たった一つのこと”

「80歳時点で20本以上、自分の歯を保つ」ことが理想とされる中、「そう簡単ではない…」と感じる人も多いことでしょう。歯科医師が教える「一生、自分の歯で食べ続けるためにできること」とは。

一生、自分の歯で食べ続けるには?
一生、自分の歯で食べ続けるには?

「一生、自分の歯で食べ続けたい」と願っている人は多いと思います。厚生労働省や日本歯科医師会が推進する「8020運動」が示すように、「80歳時点で20本以上、自分の歯を保つ」ことが理想とされていますが、実際は「そう簡単ではない…」と感じている人も少なくないと思います。

 一生、自分の歯で食べ続けるために、どんなことができるのでしょうか。つのだデンタルケアクリニック(福岡市博多区)院長で歯科医師の角田智之さんに聞きました。

歯を失う最も大きな原因は「歯周病」

Q.そもそも「自分の歯を失う理由」としては、どんなことが挙げられますか。

角田さん「一般的に、自分の歯を失う理由として、大きく次の3つが挙げられます」

【歯周病】

歯を失う最も大きな原因といわれています。歯周病は症状なく進行するため、「サイレントディジーズ(静かなる病気)」とも呼ばれます。症状が出始めたときには、既に中等度以上に進行してしまっていることが多く、慌てて歯科医院を受診しても保存困難となり、抜歯に至るケースが多くみられるためです。

【虫歯】

「虫歯が進行して痛みがあり、歯医者さんで神経を取る治療をした」といった話を聞いたことがあると思います。神経を取った歯は「失活歯(しっかつし)」といい、神経がなくなったことで痛みは取り除かれますが、歯の強度が脆くなる上、新たに虫歯ができても痛みを感じにくくなってしまいます。痛みがない分、虫歯が進行しすぎて、歯が崩壊してしまってから初めて気が付き、受診されるケースも多いです。その場合もやはり抜歯になり、歯を失ってしまいます。

【根先性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)】

歯の根の病気のことです。神経の治療が終わった歯や、神経が自然に死んでしまった歯では、神経が入っていた歯の中の穴をつたって、細菌が根についてしまうことがあります。虫歯のように、しみたり、ズキズキと鋭く痛んだりするのではなく、「鈍痛」「かむと痛い」「歯茎が腫れてくる」という症状が主体となります。根の病気が大きい場合、抜歯となり、歯を失うこともあります。

Q.高齢になっても自分の歯が多く残っている「メリット」として、どんなことが考えられますか。

角田さん「高齢者の中には、歯にトラブルを抱えている方が比較的多いため、おいしい食事を楽しめない方もいらっしゃいます。また、義歯などは味の感じ方も変わってくるため、多くの健康な歯が残っていることは、生活の質という観点からも大きなメリットではないでしょうか。

また、歯が悪い人は、何かとやわらかい食事に偏りがちで、炭水化物を多く取る傾向があるようです。歯が多く残っていれば、タンパク質を取ることもでき、歯だけではなく体の健康にも影響するといえます。

歯科を専門としている私のイメージでは、高齢でも歯が多く残っている人は、少ない人よりも元気で年齢を感じさせない、はつらつとした人が多い感じがします。また、歯が多く残っていればそしゃく機能も保たれますが、少なければ自然とうまくそしゃくもできなくなり、機能させなければ“廃用委縮”(使わないと機能しなくなってしまうこと)が始まってしまいます。

入院中の高齢者で、胃ろうから栄養摂取している場合は、口を使うことがなくなるので唾液が出なくなり、粘膜は乾いてしまって傷つき、歯も虫歯が増えてしまいます」

Q.高齢でも自分の歯が多く残っている人にみられることの多い共通点はありますか。

角田さん「歯が多く残っている高齢者の共通点としては、食事内容に気を使いながらも、何でも食べて元気な点ではないかと思います。食欲は、人が生存する上での大きな欲求と思います。また、食欲を上手に満たすことができれば、楽しみの欲求も同時に満たされ、生活の充実度が向上するためか、何事も前向きに捉えられるという副次効果もあるのではないでしょうか。

もちろん、歯があるので一生懸命歯磨きをしたり、定期的な歯のメンテナンスに通っていたりする人が多いようです」

Q.ずばり「一生、自分の歯で食べ続ける」ために、どんなことが必要だと思われますか。

角田さん「歯科医院での定期的なメンテナンスが最も効果的だと思います。メンテナンスでは歯のクリーニングやチェックがもちろん行われますが、それだけではなく、良質な歯のための健康情報を得ることで、自宅でのセルフケアを充実させることができると思います。

先述したように、歯を失う最大の原因は歯周病です。歯周病は『サイレントディジーズ』なので、気が付いたときには手遅れになってしまいます。歯科医院の定期的な受診を習慣化し、何でも相談できるかかりつけの歯科医をもつことが、一生自分の歯で食べ続けることにつながるでしょう。

今日からでもできることとしては、しばらく受診から遠ざかっている人は『痛みがなくても今すぐ歯科医院に予約の電話を入れる』ことではないでしょうか」

(オトナンサー編集部)

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角田智之(つのだ・ともゆき)

歯科医師

つのだデンタルケアクリニック院長。歯科医師臨床研修指導医、日本選択理論心理学会認定選択理論心理士。1992年、明海大学歯学部卒業。日本大学板橋病院、社会保険横浜中央病院、久留米大学病院、医療法人社団高邦会高木病院歯科口腔外科を経て、2008年、福岡市博多区につのだ歯科口腔クリニックを開設。2015年、同じ博多区内で移転開設し、つのだデンタルケアクリニックに名称変更。予防診療と舌痛症のメンタルカウンセリングを行っている。専門分野は口腔外科、歯科心身症。つのだデンタルケアクリニック(https://tsunoda-dentoral.net/)、舌痛症専門サイト(https://zettsu.com/)。

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