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「もったいない」「理解できない」の声も…「ホワイト企業」で相次ぐ若手社員の離職 その背景とは?

まずはコミュニケーション密度を高める

 ではどのような対策を取ればよいのでしょうか。まず、リモートワークや労働時間短縮などによってなくなっていった「自然に学べる環境」の代わりになる、コミュニケーション密度を高める施策を用意することです。

 具体的には、「1on1ミーティング」(上司と部下が定期的にキャリアや能力開発、メンタルヘルスなどのテーマで話し合うミーティング)、「パルスサーベイ」(モチベーションや満足度などを定期的に問う簡素的な調査)、「ピア・ボーナス」(社員同士で互いの仕事に好評価を伝える仕組み)、「チャット・ツール」(気軽に社員同士でチャットができる社内システム)など、最近ではさまざまなものがリリースされています。これらで昔あった「薫陶」(優れた人徳で人を教育すること)をシステマチックに再現するのです。

キャリアの見通しが立つような工夫を

 また、以前は普通に働いていれば、キャリアの目標になるような憧れの先輩が見つかったものですが、リモートワークや労働時間短縮などの影響で、見つかりにくくなってきています。そのため、若手社員は自分のキャリアの見通しが立たない、イメージができない可能性があります。

 そこで、会社として若手社員が自分のキャリアの見通しを立てられるようにキャリアパスを明確化したり、メンター制度などによってイケてる先輩に出会える機会を増やしたりして、キャリアの目標を立てられるようにします。その上で、その目標を達成するためには、どんな能力・スキルを身に付ければよいか分かるようにすれば、漠然とした不安からは逃れられるかもしれません。

今の仕事にどんな意味があるのかを伝える

 その上で、仕事の意味付けを支援しましょう。多くの若者は「この仕事でどんな力が身に付くのか」「どんな人になれるのだろう」と悶々(もんもん)としています。ですから、上司や先輩、もしくは会社が主導して、今やっている仕事にどんな意味があるのか示してあげるのです。仕事を割り当てるときから、「この仕事は、こういうキャリアを目指しているあなたにとってこんな意味がある」と伝えれば、同じことをしていても、やりがいに差がつくことでしょう。

 このように、「働き方」と引き換えに、知らぬ間に失われた成長環境を再び整えていかなければ、いくら働きやすくても若者は会社を離れていくことでしょう。

(人材研究所代表 曽和利光)

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曽和利光(そわ・としみつ)

人材研究所代表

1971年、愛知県豊田市出身。灘高校を経て1990年、京都大学教育学部に入学し、1995年に同学部教育心理学科を卒業。リクルートで人事採用部門を担当し、最終的にはゼネラルマネジャーとして活動した後、オープンハウス、ライフネット生命保険など多様な業界で人事を担当。「組織」「人事」と「心理学」をクロスさせた独特の手法を特徴としている。2011年、「人材研究所」を設立し、代表取締役社長に就任。企業の人事部(採用する側)への指南を行うと同時に、これまで2万人を超える就職希望者の面接を行った経験から、新卒および中途採用の就職活動者(採用される側)への活動指南を各種メディアのコラムなどで展開している。著書に「定着と離職のマネジメント『自ら変わり続ける組織』を実現する人材流動性とは」(ソシム)など。

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