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森保一監督はなぜ“奇跡”を2度起こせたのか? サッカーW杯をマネジメントの観点で考える

「任せて、任せず」の体現者

 このあたりが(裏の取れていない想像ですが)森保監督の「上手な」ところではないかと思うのです。表面的には「選手の自主性を引き出すマネジメント型」と見えるのですが、日本代表のリーダーたる人が「俺はこうしたい」がないわけがありません。いや、普通の人よりも強烈な「こうしたい」があることでしょう。

 それにもかかわらず、最善策が選ばれない可能性が生まれる恐怖に打ち勝つ勇気を持って、選手に一度議論を預け、意見を出させ、最終的に監督の思う最善策を選ばせることで、組織が一丸となって決定方針にコミットするようにするというのは、なかなかできることではないと思います。

 このようなマネジメント手法を、経営の神様松下幸之助も「任せて、任せず」と呼んでいました。無責任に任せきるわけでもなく、全く権限委譲しないわけでもなく、というこのあんばいについて、うまくバランスを取れるのか。これぞマネジャーの普遍的な課題であり、森保監督はその素晴らしい体現者ではないか、と思うのです。

(人材研究所代表 曽和利光)

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曽和利光(そわ・としみつ)

人材研究所代表

1971年、愛知県豊田市出身。灘高校を経て1990年、京都大学教育学部に入学し、1995年に同学部教育心理学科を卒業。リクルートで人事採用部門を担当し、最終的にはゼネラルマネジャーとして活動した後、オープンハウス、ライフネット生命保険など多様な業界で人事を担当。「組織」「人事」と「心理学」をクロスさせた独特の手法を特徴としている。2011年、「人材研究所」を設立し、代表取締役社長に就任。企業の人事部(採用する側)への指南を行うと同時に、これまで2万人を超える就職希望者の面接を行った経験から、新卒および中途採用の就職活動者(採用される側)への活動指南を各種メディアのコラムなどで展開している。著書に「定着と離職のマネジメント『自ら変わり続ける組織』を実現する人材流動性とは」(ソシム)など。

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