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「汗をかいたら熱が下がる」で厚着は逆効果? インフル、コロナ、風邪で違いは? 真偽を医師に聞く

風邪で発熱しているとき、「汗をかいたら熱が下がる」と厚着をしたり、部屋を暖めたりする人がいますが、「無理に汗をかくのは逆効果では?」との声もあります。真偽を医師に聞きました。

汗と熱の関係は?
汗と熱の関係は?

 風邪の季節がやってきました。風邪で発熱しているとき、「汗をかいたら熱が下がる」と思って、厚着をしたり、部屋を暖めたりする人がいます。しかし、「無理に汗をかくのは逆効果では?」との声もあります。新型コロナウイルス感染症やインフルエンザの発熱の場合はどうなのでしょうか。内科医の市原由美江さんに聞きました。

無理に汗をかくと、消耗する場合も

Q.風邪をひいて発熱している際、「汗をかいたら熱が下がる」のは事実でしょうか。

市原さん「風邪のときに無理やり汗をかいたからといって、熱は下がりません。汗をかこうとして、無理に厚着をすると、体力を消耗してしまう場合もあります」

Q.しかし実際に「汗をかいて、熱が下がった」経験がある人もいます。「汗をかく」ことと「熱が下がる」ことの関係を教えてください。

市原さん「『熱が下がるときに、汗をかく』のは事実です。風邪のときの発熱は、体が細菌やウイルスと戦うために、体温を上げて免疫力を高めようとしているからです。免疫がウイルスや細菌を撃退すると、脳は体温を平熱に戻そうとします。すると、体は汗をかくことなどで体温を下げようとするのです。

“脳の指令”による体の働きで熱が下がっていくのであって、汗を無理にかいたとしても熱が下がるほどの効果はありません」

Q.風邪をひいたとき、体を温めるとよいのは、どういう場合でしょうか。

市原さん「風邪のひき始め、特に熱が出る前に悪寒がすることがあり、そのときは上着を羽織ったり布団に入ったりと、体を温めるといいです。悪寒がして体が震えるのは、筋肉を震わせることによって、熱を生み出し、免疫力を高めようとしているからです」

Q.風邪で発熱している際、部屋の温度や衣服をどのように保つのが理想でしょうか。

市原さん「発熱して汗をかいているときは、小まめに汗を拭いて、洋服は小まめに着替えましょう。部屋の設定温度にこだわることなく、自分が過ごしやすい温度で、快適に過ごせる環境であれば大丈夫です。水分補給も忘れないでください」

Q.今年は新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時流行も懸念されています。新型コロナやインフルエンザの発熱も、風邪と同様の対処でよいのでしょうか。

市原さん「はい。同様の対処で大丈夫です。ただし、高熱になることが予想されるので、解熱剤の準備や水分補給がうまくできるように経口補水液などの準備をしておいた方がいいでしょう」

(オトナンサー編集部)

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市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

eatLIFEクリニック院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。eatLIFEクリニック(https://eatlife-cl.com/)。

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