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冷たくわが子に接して後悔…2人目出産後のママが悩む「上の子かわいくない症候群」とは?

「上の子を傷つけてしまった」…どうする?

Q.実際に「上の子を傷つけてしまったかもしれない」と思ったときに望まれる行動とは。

佐藤さん「上の子は下の子が誕生すると、『ママを取られた』という思いが生まれやすく、わざとママの注意を引くような行動をします。いわゆる『赤ちゃん返り』と呼ばれるものです。このとき、親が『お兄ちゃんなんだからしっかりしなさい』『お姉ちゃんなんだから我慢して』と言うと、上の子の気持ちは収まりにくくなります。

まず、心掛けるべきは『お兄ちゃん(お姉ちゃん)だから』を望ましくない場面で使わず、『さすがお兄ちゃんだね』『お姉ちゃんだから本当に頼りになるね』と褒めたり、ねぎらったりする場面で使うことです。

かまってもらいたい一心で出る赤ちゃん返りも、下の子の世話を上の子に手伝ってもらったり、家事のお手伝いをしてもらったりする中で解消されることがあります。できるところから実践してみてください」

Q.祖父母など周囲の人たちが本人(母親)から、「上の子かわいくない症候群」を告白されたとき、または「症候群ではないか」と気付いたとき、どうすればよいでしょうか。

佐藤さん「繰り返しになりますが、上の子がかわいくない状況に陥るときはほぼ100パーセント、時間的な焦燥感があります。時間的に余裕があると気持ちにも余裕ができるので、周囲の人は『自分が何かできないか』という視点を持つことが大事です。

下の子の月齢にもよりますが、新生児時代であれば、ママ以外の人への寛容性も大きく、誰が抱っこしても大丈夫なことが多いので、下の子をおじいちゃんやおばあちゃんに見てもらい、ママと上の子との時間を意識的につくる方法もお勧めです」

Q.2人目を妊娠中の女性が「上の子かわいくない症候群になったら…」と不安に思うこともあるようです。

佐藤さん「『絶対にならないぞ』と思うと、実際になったときの反動も大きく、自分が許せなくなってしまうので、『そういうことも起こり得る』という度量が大事です。

そして、自分一人で抱え込む量を、1人目のときに既に満杯にしないことです。1人目のときに完璧にこなせてしまうと、それが家庭のペースになってしまいます。ママが完璧でない方が、パパがイクメンになりやすいという研究データもあり、ハードルを高くし過ぎない方が結果的に自分を追い込みにくくします。

『上の子かわいくない症候群』は一過性のもので、下の子が2年後にイヤイヤ期を迎えれば、今度は『上の子の方が物分かりがいい』と見方が変わることもよくあります。子育ては、そのときには“人生最大の悩み”に思えることも、数年たつと『あんなこともあったなあ』と思えることがたくさんあるので、大きな度量で構えていましょう。

下の子が生まれる前までに、上の子とパパとの関係が良好であることは、第2子出産後のママを助けてくれます。『パパを巻き込む』ことが、『上の子かわいくない症候群』に陥りにくくする一番の策であり、その際はパパのやることに完璧を求めないことも大事になってくるでしょう」

(オトナンサー編集部)

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佐藤めぐみ(さとう・めぐみ)

公認心理師(児童心理専門)

ポジティブ育児研究所代表。育児相談室「ポジカフェ」主宰。英レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。現在は、ポジティブ育児研究所でのママ向けの心理学講座、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポートする活動をしている。著書に「子育て心理学のプロが教える 輝くママの習慣」(あさ出版)など。All About「子育て」ガイド(https://allabout.co.jp/gm/gp/1109/)を務めている。公式サイト(https://megumi-sato.com/)。

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