冷たくわが子に接して後悔…2人目出産後のママが悩む「上の子かわいくない症候群」とは?
2人目を出産後、「上の子かわいくない症候群」に陥り、苦しい思いをした経験がある人は少なくありません。なぜこのような状態になってしまうのか、子育ての専門家に聞きました。
「2人目を出産後、それまでかわいくて仕方なかった上の子をかわいいと思えなくなってしまった」
2人以上の子どもを育てる母親の中には、このような「上の子かわいくない症候群」に悩んだ経験のある人が少なくないようで、「下の子はかわいく思えるのに、上の子にはすぐイライラして冷たく接してしまっていた」「自分の感情がよく分からず、母親失格だと感じていた」と苦しんだ経験が多く聞かれます。また、「2人目を妊娠中なので不安」「パパにも起こり得るの?」など、不安や疑問の声もあるようです。
ママたちを苦しめる「上の子かわいくない症候群」とは、どのような現象なのでしょうか。子育てアドバイザーの佐藤めぐみさんに聞きました。
「上の子が2~3歳のとき」起きやすい
Q.「上の子かわいくない症候群」とは何ですか。
佐藤さん「“症候群”とは本来、医療関連で用いる用語ですが、今では医学的な背景がなくとも、ある現象が多くの人に見られるときに使うことがあり、『上の子かわいくない症候群』もそれに当たります。一般的には、下の子が生まれ、上の子もまだ小さい(2~5歳くらい)時期に『上の子がかわいいと思えない』と感じる状態を指します。
生まれたばかりの下の子には、赤ちゃんならではの純真無垢(むく)なかわいさがあります。一方で、上の子はしっかり自己主張するし、生意気な発言もあるでしょう。ママの気持ちはどうしても絶対的依存期にある下の子に注がれやすく、上の子の行動・言動が鼻につき、イライラしてしまうことがあります。
特に、上の子が2~3歳のときに2人目が誕生した場合、上の子の第1次反抗期(イヤイヤ期)とも重なります。下の子の育児(夜中の授乳など)+イヤイヤ期でダブルパンチとなりやすく、慢性的な睡眠不足状態で、上の子の『ママ、ママ』だけでイライラし、『かわいくない』と思うことが起きやすいのです」
Q.どんな人がなりやすいのでしょうか。
佐藤さん「私のこれまでの経験では、物事を完璧に手際よく進めたいママや、1人目の段階で既に飽和状態のママ、『パパと上の子』の組み合わせで遊びに行けない家庭のママがなりやすいようです。また、父親は下の子と乳児期に接する時間が母親より短いことが多いため、『上の子より下の子の方がかわいい』という差が起こりにくいように思います」
Q.「上の子かわいくない症候群かも」と思い当たることがあったとき、本人(母親)はどうすればよいですか。
佐藤さん「『そうかも』と思い当たったら、自分を客観視してみることが重要です。人は誰でも、時間的に追い込まれると爆発を起こしやすいもの。『家事を妥協できないか』『周りのサポートを得られないか』と時間をつくる工夫をしたり、友人に状況を話したりしてみましょう。同じような思いを持つママも多いので、話すことで気持ちが楽になったり、お互い協力できることが見つかったりするかもしれません。
また、“自分を許す作業”も大事です。これまでは時間を上の子だけに注げていたのが、2人に対応することになったのですから、完璧にできなくても当然です。『何とかできている自分』を受け止めることで、2人の子の育児に順応しやすくなります」
Q.中には、「上の子にきつく当たってしまう自分に腹が立つ」「『母親失格だ』と自分を責める」人も少なくないようです。
佐藤さん「子どもに対して冷たい対応をして後悔する、『上の子がかわいくない』と感じることに悩むというのは、真摯(しんし)に育児を捉えている証拠です。『上の子がかわいくない』というのは、確かに自分にとっても、とても嫌な感情ですが、それに気付けていること自体が実は抑制になっています。
もし、上の子に冷たい対応をして何とも思わなければ、悩みにはなりにくいですが、はたから見れば、『冷たい対応に後悔して苦しむ』人よりも、『何とも思わない』人の方が問題です。悪気がない分、エスカレートしやすいからです」
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