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「過保護」と「過干渉」はどう違う? 親子関係のパターンで知る両者の特徴と脱却方法

子どもが成長し、自らが親になったときに悩むケースも

Q.過保護、または過干渉な子育てを継続することで、子どもの成長や性格形成などにどのような影響を及ぼすことが考えられますか。

佐藤さん「どちらにも共通するのは、自立を妨げてしまう可能性があるということです。過保護の場合は、その年齢で身に付けた方がよいさまざまなことを経験せぬままだったり、嫌なことはやらずとも親が何とか取り繕ってくれたりと、自分でできることがどうしても少なくなり、自立に影響が出てくることがあります。また過干渉の場合は、小さい頃から親が何でも決めてしまうことが常なので、自分で考えて行動することが苦手になりかねず、これも自立に影響を及ぼすことになります。

そして、そうした子どもがさらに成長し、自らが親になると、そこでまた悩む人も多いようです。私の相談室にも、そういう環境下で育ったという人たちが、『幼少期の親との関係が、今の親としての自分に影響を与えている気がする』と悩んで相談に見えることがあります。『子どもとの関わり方が分からない』『親と同じことを繰り返している』『自己肯定感が低い』など、お悩みはそれぞれ違いますが、幼少期の親子関係はその後にも影響を与え続けるのだと改めて感じさせられます」

Q.過保護/過干渉な子育てから脱却するために必要な意識、行動とは。

佐藤さん「過保護や過干渉というのは、『よかれと思ってやっている』という点で共通しています。そのため、親自ら“気付かずに”やっていることが多いのです。そして、受け手である子ども側も、初めから過保護や過干渉でスタートすれば、それが当たり前だと思うため、思春期前に子ども自身が『うちの親、過保護なのでは』のように、自らの境遇に疑問を持つことはあまりありません。特に過保護の場合、親があれもこれも面倒を見てくれ、嫌なことはカバーしてくれますから、子ども自ら、その体制に不満を持つことが少ないのです。思春期以降、親と距離を持つようになってから、『うちって過保護、過干渉だったのかも』と気付くことが多いです。

よって、気付くためには、親の方が『私はどうだろうか?』と、自分の接し方を振り返ることがとても大事になります。本当なら、ママ友同士でお互い言い合えれば気付きにつながりやすいと思いますが、『よそのおうちのやり方にあれこれ言うべきではない』という人がほとんどだと思うので、言ってあげられるとすれば身内だと思います。

過保護や過干渉は、結局は子どものためにはなりません。子育ては、今ももちろん大事ですが、その子が将来スムーズに自立できるようなサポートもとても重要なので、やり過ぎにならないよう、今一度振り返ってみてほしいと思います」

(オトナンサー編集部)

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佐藤めぐみ(さとう・めぐみ)

公認心理師(児童心理専門)

ポジティブ育児研究所代表。育児相談室「ポジカフェ」主宰。英レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。現在は、ポジティブ育児研究所でのママ向けの心理学講座、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポートする活動をしている。著書に「子育て心理学のプロが教える 輝くママの習慣」(あさ出版)など。All About「子育て」ガイド(https://allabout.co.jp/gm/gp/1109/)を務めている。公式サイト(https://megumi-sato.com/)。

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