オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

「ままごと」気分で幼児が電話口に…困惑する相手、「電話のしつけ」どうする?

子どもは「大人の電話応対」見ている

 電話は相手の顔が見えません。つまり視覚情報がないわけです。だから、「はい」と出たその声のトーンや話し方だけが、どんな人か判断する要素になります。横柄でぶっきらぼうに出れば「感じが悪い人」、明るくハキハキと丁寧な言葉遣いで応対すれば「礼儀正しく、いい人」と思われるでしょう。企業やお店への問い合わせ時の応対でも同様です。それだけ、電話での第一声や話し方は、人の印象を決める上でとても重要なのです。

 どこの幼稚園に入園しようか迷って問い合わせの電話をしたとき、電話口に出た職員が「え、もしもし、どちらさまですかぁぁ〜」と気だるそうに応対したら、おそらく説明会に行くことも、願書も出すこともないでしょう。電話応対の印象が悪ければ、見学していなくても、周りの友達に「あの幼稚園は感じが悪いよ、よくないよ」と言いふらす人もいるかもしれません。

 電話は、社会との接点です。園長先生や学校の担任、会社の上司からかかってくることもあります。愛想のない対応をしたり、電話を幼い子のおもちゃ代わりに与えていたりすると、「礼儀がなっていない家族だなあ」と一瞬にして思われてしまいかねません。電話してきた相手が園長先生だと知って、「あっ! いつも大変お世話になっております」と、急に丁寧な言い方に直して声のトーンを急変させても後の祭り。「相手によって態度を変える人ね」と思われてしまいますよ。

 子どもは、身近な大人の「普段の振る舞い」をよく見ています。そして、子どもの「電話」に対する好奇心や興味も大きいです。電話応対の際は親自身も、電話の相手に声や話し方で判断されていること、そして、その姿を子どもが見ていることを心に留めておきたいものです。ままごと遊びの道具として使わなくなった電話機を与えるのは、子どものコミュニケーション力を育てる上で有効ですが、本物の電話を取らせるのは、言葉遣いをしっかり教えてからにしましょう。

(子育て本著者・講演家 立石美津子)

1 2 3

立石美津子(たていし・みつこ)

子育て本著者・講演家

20年間学習塾を経営。現在は著者・講演家として活動。自閉症スペクトラム支援士。著書は「1人でできる子が育つ『テキトー母さん』のすすめ」(日本実業出版社)、「はずれ先生にあたったとき読む本」(青春出版社)、「子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方」(すばる舎)、「動画でおぼえちゃうドリル 笑えるひらがな」(小学館)など多数。日本医学ジャーナリスト協会賞(2019年度)で大賞を受賞したノンフィクション作品「発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年」(中央公論新社、小児外科医・松永正訓著)のモデルにもなっている。オフィシャルブログ(http://www.tateishi-mitsuko.com/blog/)、Voicy(https://voicy.jp/channel/4272)。

コメント