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目がかゆくてたまらない! 花粉症の対応、市販の目薬だけで大丈夫? 眼科医に聞く

花粉症で目がかゆくなった場合、市販の目薬だけで対処してもよいのでしょうか。専門家に聞きました。

花粉症で目がかゆい! 市販薬でOK?
花粉症で目がかゆい! 市販薬でOK?

 暖かくなり、スギやヒノキの花粉が多く飛散しています。鼻水や鼻詰まり、目のかゆみなどの症状に悩まされている人も多いのではないでしょうか。ところで、花粉症で目がかゆくなった場合、市販の目薬だけで対処してもよいのでしょうか。それとも、まずは眼科を受診すべきなのでしょうか。花粉症で目がかゆくなったときの対処法などについて、かわな眼科(千葉県松戸市)の川名啓介院長に聞きました。

目薬で症状改善なければ受診を

Q.花粉による目のかゆみを防ぐ方法や、花粉症で目がかゆいときの対処法について、それぞれ教えてください。

川名さん「花粉症は、花粉が目の粘膜に付着してアレルギー反応が起きることで生じるので、まずは花粉が目に入らないようにすることが大切です。そこで一般的な眼鏡、できれば花粉よけ専用の眼鏡を掛けることをおすすめします。また、普段、コンタクトレンズを使っている人が、花粉症を患っている場合、花粉の飛散時期は一時的に眼鏡に切り替えた方がよいでしょう。そうすることで、目に付着する花粉の量を減らすことができます。

そのほか、花粉予報をよく確認して、花粉の飛散が多い時間帯は外出を避けた方がよいです。また、外出時はなるべく花粉が付きにくいさらさらした手触りの上着を着て、家に入る前に花粉を払うことも有効です。

花粉が目に付着した場合の対処法ですが、水道水で目を洗うのは医学的にあまり推奨されていません。また、カップを使って目を洗うタイプの洗浄液が市販されていますが、目の周りの異物が逆に目の粘膜に付くこともあり、眼科医としてはあまりおすすめしません。

一方、医薬品メーカーが開発した『目を洗う』というコンセプトの目薬が市販されています。通常の目薬は1滴でよいのですが、こちらの製品は4滴から6滴、目にさして洗い流すというものです。目の周りから異物が入る心配がなく、刺激もそれほど多くないので、外出後に使用するのがおすすめです。

とにかく大事なことは『花粉を目に付着させない』『付いてしまったら洗い流す』ということです」

Q.花粉症で目がかゆいときにこすった場合、どのような健康被害が考えられるのでしょうか。

川名さん「目がかゆいときはついこすってしまいますが、こすることによって炎症が悪化し、その後さらにかゆくなります。その上、まぶたが腫れたり、白目がぶよっとゼリー状になったりするので、こするのは厳禁です。

さらに目をこすり過ぎるとまぶたが腫れてかゆみがひどくなるばかりでなく、目に強い刺激を与えることになります。慢性的な刺激が目に加わると、角膜が円すい状に突出し、視力が低下する『円すい角膜』や、白内障、網膜剥離といった病気を引き起こすことがあります。

有名なのは、アトピー性皮膚炎の人が長期間にわたってよく目をこするケースです。そのような人の中には、先述の円すい角膜や白内障、網膜剥離を発症する人が比較的多く見られます。

花粉症シーズンのように1年のうちの限られた期間であっても、目に負担をかけると、組織に障害を与えることがあります。そのため、こすらないように気を付けるのがとても大切です」

Q.花粉症で目がかゆいときに、市販の目薬だけで対処してもよいのでしょうか。それとも、まずは眼科を受診した方がよいのでしょうか。

川名さん「まずは市販の目薬を使用して、1週間たってもよくならない場合は受診をおすすめします。一般的に花粉症用の抗アレルギー薬は1週間ほど使用することで効果が強くなっていきます。そのため、最低1週間は目薬を使うのがおすすめです。もちろん、『目をこすりすぎて腫れた』『目やにがたくさん出る』『かゆくて眠れない』など、あまりに症状が強い場合は、早めに眼科を受診しましょう」

Q.では、どのような成分が入った目薬が花粉症に効果的なのでしょうか。目薬を選ぶときの基準について、教えてください。

川名さん「抗アレルギー成分としてクロモグリク酸ナトリウム、アシタザラノラスト水和物、抗ヒスタミン成分として、クロルフェニラミンマレイン酸塩、ケトチフェンフマル酸塩が有名です。抗アレルギー成分の場合、効果が安定するのに1週間ほどかかりますが、抗ヒスタミン成分はある程度、即効性が期待できます。症状の程度によって選ぶとよいでしょうか。

アレルギー反応による症状を抑える成分であるペミロラストカリウムやトラニラストが入った目薬は、症状があまりないときから使うのが有効です。アレルギー反応自体を穏やかに抑えていくようなもので、目の状態が比較的よいときでも、花粉が多く飛散する時期は使い続けた方がよいといえます。

要注意なのが、充血を引かせる成分である血管収縮剤(塩酸ナファゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸フェニレフリン)が入った目薬です。この成分が入った目薬を使えば、確かに目の赤みは取れますが、効果が切れると逆に赤くなります。赤みを一時的に取るだけで、根本的な治療にならないので、この成分が入った点眼を使い続けると治りにくいと言えます。

そこで、血管収縮剤が入っていない目薬を選ぶのがおすすめです。どうしても充血が気になるようであれば、仕事や学業で一時的に取りたいときに限って使うべきでしょう。

また、使用時の爽快感を出すために、制汗剤などに含まれるメントールという成分を入れた目薬が市販されていますが、血管収縮剤入りの目薬と同様、目を根本的に治療するわけではないのでおすすめしません。ちなみに眼科で処方する目薬で、メントール入りのものはありません」

Q.花粉症による目のかゆみを放置した場合、重症化する可能性はあるのでしょうか。また、毎年花粉症になる人が取り組んだ方がよい対策は。

川名さん「目のかゆみだけで失明することはありません。しかし、かゆみが続いて充血や目やにが多い場合、『春季カタル』という重症のアレルギーを起こしている可能性があります。この場合、眼科でしっかり治療しないとなかなか治りません。かゆいために目をこすり過ぎると、先述のように白内障や網膜剥離などを引き起こしやすくなるので、かゆみを感じない程度にまで治療するのがおすすめです。

毎年花粉症になる場合、その症状が出る2週間前から点眼治療を行うとよいといわれています。これは薬の効果を最大限にして、さらに重症化も防いでくれるというものです。喉元過ぎれば熱さを忘れると言いますが、かゆみがよくなると、かゆみがあったことをけろっと忘れてしまうものです。翌年以降も忘れずに予防治療することがおすすめです。

症状が出る前から目薬の使用を開始し、その後、花粉症シーズンの終わりまでしっかりと使い続けることが理想です」

(オトナンサー編集部)

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川名啓介(かわな・けいすけ)

医師(眼科)

医療法人社団かわな眼科院長・理事長。日本眼科学会認定眼科専門医、医学博士。1999年、筑波大学医学専門学群卒業。筑波大学附属病院、日製日立総合病院、総合病院土浦協同病院勤務を経て、2006年から筑波大学大学院人間総合科学研究科講師となる。2009年、千葉県松戸市でかわな眼科を開設。「快適な眼で、人生に潤いを」を目指し、患者さんにわかりやすい医療を提供することを目指している。専門分野は白内障、緑内障。かわな眼科(https://kawanaganka.com/)。公式YouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/channel/UCS1bdAnSyjcnZSuM38PLzKQ)。

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