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「目薬」の使い過ぎで、目の病気にかかりやすくなるのは本当?

目が疲れたとき、重宝する「目薬」ですが、使い過ぎると目の病気になる恐れもあるようです。事実でしょうか。

目薬の使い過ぎで病気に?
目薬の使い過ぎで病気に?

 デスクワークや勉強で目が疲れたとき、「目薬」をさす人は多いと思います。仕事がひと段落するたびに目薬を使う人もいるようですが、「あまり回数が多いと逆効果」「使い過ぎで目の病気になる恐れもある」との情報もあります。事実でしょうか。かわな眼科(千葉県松戸市)の川名啓介院長に聞きました。

ドライアイも疲れの原因に

Q.デスクワークや勉強で、目が疲れる仕組みや理由を教えてください。

川名さん「目が疲れるというのは主に、同じ距離を長時間見ているために目のピント合わせの機能が凝り固まってしまい、重い感じがしたり、痛みを感じたりするものです。人間の目は、通常の目がよい人(眼鏡やコンタクトレンズを必要としない人)や眼鏡・コンタクトレンズで遠くがよく見えるように矯正している人は目の毛様体筋という、ピント合わせをつかさどる筋肉がリラックスした状態で、遠くが見やすい状態になっています。

近くを見るときには、その毛様体筋が緊張して、レンズである水晶体の屈折を変えることで、近くが見やすい状態となります。つまり、筋肉をずっと緊張させることで、デスクワークや勉強をしているのです。例えば、2リットルのペットボトルを片手で短時間持つのは簡単ですが、1時間も2時間も持っていると筋肉が疲れてしまいます。同じようなことが目にも起きるため、近くを長く見ていると、目が疲れるということが起きるのです。

そのほか、ドライアイ(渇き目)も目の疲れの原因となります。涙の状態が不安定になると微妙にピント調節を行う必要が出てきて、目の疲れを引き起こすのです。さらに、デスクワークでパソコンやタブレット、スマホを使用すると、まばたきの数が少なくなってしまい、ドライアイ症状に拍車が掛かります。コンタクトレンズを使うと、眼鏡よりも涙が乾きやすくなってしまうため、デスクワークや勉強の際には眼鏡がおすすめです」

Q.疲れ目用の目薬の主な成分は何でしょうか。また、目にどのような作用を及ぼすのでしょうか。

川名さん「疲れ目用の目薬の成分はいろいろありますが、代表的なものにシアノコバラミン(ビタミンB12)、タウリン、コンドロイチン硫酸エステルナトリウムなどがあります。

シアノコバラミンは神経を保護して、ピント合わせの機能を回復させる作用があります。きれいな赤い色をしていて、いかにも目によさそうな感じです。タウリンは某栄養ドリンクに入っているので有名ですが、目の組織代謝を活発化させる作用があります。コンドロイチン硫酸エステルナトリウムは長い名前ですが、簡単に言うと保湿作用があり、涙が乾くのを防いで疲れを予防します。

そのほか、目の充血を抑える成分として、塩酸ナファゾリン、塩酸テトラヒドロリン、塩酸フェニレフリンなどが入っている場合があります。これらの成分は短期的には、充血を取って、見た目をよくする作用がありますが、効果が切れると逆に充血が目立つようになります。根本的な治療をしているわけではないので、あまりおすすめしない成分です。実際、眼科において、このような成分の点眼を処方することはほとんどありません」

Q.「目薬は1日5~6回程度が限界」との情報があります。事実でしょうか。

川名さん「事実です。眼科において処方する点眼薬は特別な場合を除いて、1日1回から6回が適切な使用回数となっています。点眼薬の効果や持続時間から、1日の点眼回数が決まっています。回数が多すぎると、点眼薬に含まれる防腐剤(塩化ベンザルコニウムなど)が角膜表面に毒性を持って、障害を与えることがあります。『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』というものです。

例外として、防腐剤が入っていない『人工涙液』があります。人工涙液なら1日8~10回くらいは許容範囲と考えられますが、涙の中の必要な成分のバランスを崩すことがありますので、眼科医の診察を受けて、相談したほうがよいと思われます」

Q.目薬の1回の量も1滴にした方がよいようですが、多過ぎるとどうなるのでしょうか。

川名さん「実際、1滴で十分です。というのも、目の表面にある涙の貯留量の限界よりも、点眼薬の1滴の量の方が多いからです。添付文書には『1~2滴』となっている場合が多いですが、1滴で大丈夫です。多過ぎると目の表面からあふれてしまって、目の周りの皮膚荒れを起こすことがあります。つけた感じがあまりしなくても、1滴にすることをおすすめします」

Q.「目薬のさし過ぎで目の病気になったり、失明したりする恐れもある」との情報もあります。事実でしょうか。

川名さん「事実です。目薬をあまりに多く使いすぎると涙の成分が乱れてしまって、逆に、ドライアイなどを悪化させる場合があります。市販薬ではありませんが、眼科で使う点眼麻酔薬をつけ過ぎてしまって、角膜に穴が開いてしまったということも実際にあります(ただし、通常は、点眼麻酔薬は処方されませんので安心してください)」

Q.疲れ目用に目薬を選ぶ際の注意点と適切な使用回数、タイミングを教えてください。

川名さん「市販の疲れ目用の目薬を選ぶときには、先述したシアノコバラミン(ビタミンB12、神経保護)やコンドロイチン硫酸エステルナトリウム(保湿)作用が入っているとよいと思います。一方で、先ほど述べたように、充血を抑える成分は疲れ目対策の目薬を選ぶ際は、入っていない方がよいでしょう。

『適切な回数』ということですが、それぞれの薬の使用上の注意をよく読んで、決められた点眼回数を守ることが大切です。1日4回であれば4回、しっかりつけた方がよいです。使うタイミングとしては、疲れ目の症状が出てから使うのではなく、ご飯を食べるように決まった時間に使うとよいと思います。

眼科では、点眼を忘れやすい人に対して、ご飯のたびにつけましょうとか、それに加えて、10時と3時のおやつのときにもつけましょうとかアドバイスすることがあります」

Q.「目薬をさして、あまり時間がたっていないけど目が疲れた」という場合、目薬以外で、疲れ目に効果があることを教えてください。

川名さん「まず、大切なのは遠くをぼーっと見ることです。それだけで、目の毛様体筋が緊張から解放されて楽になります。仕事の合間に、スマホでニュースチェックなどをすると逆に目が疲れてしまいます。昔から言われる『疲れたときには森を見るとよい』というのは至極まっとうなことです。目が疲れているときは体も凝り固まっているので、軽いストレッチをしたり、5分でも歩いたりするのもよい方法です。全身の血行がよくなり、リラックス効果が出ます。

蒸しタオルもよい方法です。40度ほどで10分くらい目を温めると、まぶたにあるマイボーム腺という脂の腺の中身がサラサラになって、よい脂が分泌されます。これにより、ドライアイ症状を緩和できます。目をつぶって、まぶたの上から温めることで、毛様体筋のリラックス効果も期待できます。相乗効果で目が楽になると思います」

(オトナンサー編集部)

川名啓介(かわな・けいすけ)

医師(眼科)

医療法人社団かわな眼科院長・理事長。1999年、筑波大学医学専門学群卒業。筑波大学付属病院、日製日立総合病院、総合病院土浦協同病院勤務を経て、2006年から筑波大学大学院人間総合科学研究科講師となる。2009年、かわな眼科を開設。「快適な目で、人生に潤いを」を目指し、患者さんに分かりやすい医療を提供することを目指している。専門分野は白内障、緑内障。かわな眼科(https://kawanaganka.com/)。

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